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SAO−銀ノ月−
第百二十二話
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ダイヤモンドのような硬さを誇る硬質化の大蛇も、自らと同じ大蛇の質量の体当たりには堪えたようで、しばし痛みに堪えかねてかスタンを発生する。

「これで……最後! で、バトンタッチ!」

 その隙にノリの棍の一撃が硬質化したウロコを砕き、柔らかい弱点部位を晒し、その場所に高速移動術《縮地》で接近する。そこで力尽きて倒れ込んだノリと手を叩いて位置を入れ替えると、日本刀《銀ノ月》の柄についたスイッチを押す。すると刀身が細かな振動と独特な音を響かせていき、まるでチェーンソーを連想させていく。

「はぁっ!」

 実際に、チェーンソーと原理は同じだ。刀身を高速に超震動させて切れ味を増す、日本刀《銀ノ月》の震動剣の機構。久々に使うが問題ないようで、大蛇の弱点部位に刀身を突き刺しドリルのようにほじくり返していく。わざわざウロコを硬質化させて守っているだけあって、他の大蛇よりさらに弱いのか、超震動の音と大蛇の悲鳴が《幽霊囃子》をかき消すほどに響き渡り、俺はさらに日本刀《銀ノ月》を深々と突き刺していく――と、硬質化の大蛇は大地に沈んでいた。

「ふぅ……」

 そして息を呑む俺に対して、こちらを熱感知したらしい突風を起こす大蛇が、仇を取らんとばかりにこちらを捕食しようと迫った。しかしてその大蛇が仇を討つことは決してなく、むしろ自らの不幸を呪うべきであった。事実、ゆったりと日本刀《銀ノ月》を鞘にしまい込む俺の目の前で、その大蛇は力尽きて倒れ伏してしまったのだから。

「……ご愁傷様」

 ついつい、そうして呟いてしまう。突風を起こす大蛇の上に乗っていた、二刀流のプレイヤー――キリトと対峙してしまったのが不幸だった。お互いに健闘を称えてガッツポーズを一つ、続いて急ぎ増援に向かおうと、最後の一匹の大蛇と交戦しているだろうユウキの方を向く。

「向こうは向こうでやってんねー」

 そんなのんきな声が隣にいたノリから伝わり、俺たちは火炎弾を放つ大蛇と交戦するユウキたちの姿を見た。合流したテッチが大蛇の突進を大盾で弾き飛ばすと、大蛇は火炎弾を吐こうと口を開ける。

「ええい!」

 そのタイミングを狙ったタルケンの投げ槍が、大蛇の真下からソードスキルを伴って放たれた。口の内部で火炎弾を生成していた大蛇だったが、タルケンの投げ槍は強制的に大蛇の口を閉じさせ、結果として火炎弾は大蛇の口内で爆散する。プレイヤーを焼き尽くすほどの火力が口内で爆発した威力はいかほどのものか、たまらず後退した大蛇に対して、閃光のように切り込んでいく1人の少女。

「オーライ……っと!」

 そして素手となっていたジュンがジャンプ台となり、走っていた少女――ユウキは天空に駆ける。大蛇の目と鼻の先に現れたユウキは、すぐさま自らの腕とその延長線上にある愛刀を引き絞った
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