第百二十二話
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記録室』から出て来たスリーピング・ナイツのメンバーが、それぞれの武器を構えてこちらに合流する。待ち構えるかのようにこちらを睥睨するヤマタノオロチを見て、とりわけ好戦的な二名ことユウキとジュンが不満を漏らす――その瞳に、まだ涙が混じっていることには触れないようにしながら。
「しかし……《八岐大蛇》って言えば、百人単位で倒すレイドボスですよ」
「でも幼生体みたいじゃん! 楽勝楽勝!」
それはともかくとして、まだこちらに近づいて来ないヤマタノオロチに対して、タルケンが少し引き気味に呟いた。確かに巨大な大蛇ではあるが、どうやらアレはまだ幼生体とのことらしい。
「あの楽器は?」
とはいえ幼生体であろうとも、タルケンが言ったヤマタノオロチの百人単位前提という解説に納得する威圧感はあり、その攻略の鍵となるであろう楽器のことを聞いてみると、同時にスリーピング・ナイツのメンバーが一斉に顔を逸らした。そんな息のあったプレイに嫌な予感を覚えていると、メンバーを代表としてリーダーであるユウキがおずおずと話しかけてきた。
「いや……その……楽器抜きで倒したいなー、なんて」
「ちょっと言うと思ってたよ……」
「言い訳を聞こう」
キリトの苦虫を噛み潰したような声に全面的に同意しながら、とりあえずはユウキの事情を聞くことにする。というかこうしてユウキから無茶ぶりをされるのは、凄く近いうちに既視感がある。具体的に言うと、スリーピング・ナイツだけでフロアボスを倒したい、などと言われた時のような。
「だって悔しいんだもん! なんか全部クロービスの思い通りって感じで!」
「だから、クロービスが用意した攻略法以外で、あのヤマタノオロチを倒してやろうって?」
「うん」
このクエストの製作者である、かつての仲間ことクロービスの思い通りにクエストが進行している、という状況が悔しいらしく。そんなユウキの言い分――いや、スリーピング・ナイツたちの言い分は理解した。コクコクとユウキ同様に頷いているメンバーと、諦めたように苦笑いするメンバーと。ついでに世界ごと揺らすような、ヤマタノオロチの叫び声と。
「……ダメ、かな?」
「……ナイスな展開じゃないか、だろ? ショウキ」
「先に言うなよ」
こちらを上目づかいで見てくる、自分では気づいていない涙目のユウキの頼みを断ることが出来るわけもなく。むしろキリトとともにスリーピング・ナイツたち以上にやる気を起こし、簡単に陣形を組んでヤマタノオロチに立ち向かう。
「ありがと! よーし、行くよ!」
ユウキの号令は、むしろヤマタノオロチの方に響いたかのように。地下から解き放たれた八つの大蛇が、それぞれ首を伸ばしてこちらに襲いかかってきた。先にキリトと倒せたの
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