第百二十二話
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気を引き締める。
どこかから鳴り響く祭り囃子とともに、地響きはさらに大きくなっていく。そして大蛇の死骸が神社の内部――というより地下に戻っていくと、代わりに神社を半透明の和装の何者かが埋め尽くした。それらは誰も彼もが楽器を奏でており、この神社に来た時から奏でられていた祭り囃子は、この幽霊たちが奏でていたのだと納得した。
「なるほど。《幽霊囃子》、か……」
このクエストの名前である《幽霊囃子》。その由来を様々と見せつけられるとともに、俺たちが今までいた神社が徐々に崩落していく。とはいえ崩落したのは本殿だけで、スリーピング・ナイツのメンバーがいるであろう、例の『記録室』がある広間の無事を確認すると、神社の代わりに現れたソレを仰ぎ見た。
「《ヤマタノオロチ》……!」
八つの大蛇に一つの胴体。ただし胴体は未だに地下に埋まっており、一つの大蛇の首は、俺とキリトにやられてグッタリしていたものの。伝説や伝承にさほど詳しくない自分でも、隣のキリトが言わんとしていることは理解できた。つまりアレは、この和風VRMMOを掲げるこの《アスカ・エンパイア》でも、伝説上の生き物なのだと。
「キリト、楽器は」
ただし今回ばかりは、こちらに対抗策がある。俺たちがそれぞれ探し出していた楽器――アレは、境内で見つけていた文献によると、巨大な化け物を鎮めるための道具なのだ。一度バラバラに強制転移され、合流するためにはあの楽器の入手が必要のため、持っていないわけがないのだが――
「……ユウキが持ってる。そっちのは?」
「……テッチが」
……しかして俺たちは二人組で楽器を取得しており、どうやらどちらもパートナーに渡してきてしまっているらしい。そして俺たちがそんな寸劇をしている間に、大蛇の首が緑色のブレスを死んだ首に吐いていた。
「あ」
その色には見覚えがあり、予想通りにヒールブレスだったらしく。せっかく倒した氷結ブレスの大蛇も、ヒールブレスの効果で再び回復していくと、恨み骨髄といった様子でこちらを睨みつけてきた。流石にHPゲージ全開とは言わないが、5割ほど回復している様子だった。
「……どうする?」
「…………」
蛇にらみ、という言葉があるが、まさしくその通りで。恐らくはALOでいう邪神クラスであるあのヤマタノオロチに対して、流石に二人ではどうしようもないと、キリトと顔を見合わせていると。
「もちろん! やっちゃおうよ!」
破壊された神社の方向から、そんな聞き慣れた明るい言葉が聞こえてきた。その声の主が誰かを考えるまでもなく、彼女らがこちらと合流する。
「お待たせしました」
「ズルいじゃねぇか。お前たちだけであんなんと戦うなんてよ!」
「そうそう!」
あの『
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