第百二十二話
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や」
「よっしゃ! 見たかクロービス!」
「みんなお疲れ様ー!」
先の戦いで大蛇から手を引っ張って助けたことを感謝されるも、別に気にするな――といったことを言おうとするも、向こう側から響く声に中断され、シウネーと揃って苦笑いを浮かべた。
「タルケンが作ったナマクラは折れたけどなー!」
「ジュンの使い方が荒いんだよ!」
「そっちも大丈夫?」
そんなジュンとタルケンの言い争いを背後に、心配そうなユウキがこちらに駆け寄ってきた。とはいえ俺にキリト、ノリにシウネーも特に直撃を受けたわけではなく、大丈夫大丈夫と態度が示していた。
「手強かったし、危ないところもあったけど、お疲れ様! あとは二人に、見てもらいたいものがあるんだ!」
「俺たちに?」
ヤマタノオロチを倒しただけではクエストは終わらない、とばかりにユウキはキリトと俺に語りかけてきた。そのどこか自信ありげな表情のユウキに先導され、たどり着いた場所は――
「ここは……」
「……うん。クロービスが遺してくれた、ボクたちスリーピング・ナイツの思い出の場所」
――どこまでも広がっていく大草原の中に浮かぶ、スリーピング・ナイツの冒険の記録。ヤマタノオロチとの戦闘前に見つけていた、クロービスの『記録室』だ。
「ここまで連れてきて貰ったお礼に、なんだか二人にも見て欲しくてさ。スリーピング・ナイツの冒険をね!」
「……ああ」
「なあ、この人は……」
ここまで連れてきて貰った、なんて俺たちが何をしたわけではない――とは言いたかったが、わざわざ訂正するのも野暮な話だ。草原にどこまでも浮かぶ思い出に、どこから見ようかと空を仰ぐと、キリトが近くにあった写真を指差した――いや、正確には、その写真に写っていたある人物のことを。
「あ……その人はね、ボクのお姉ちゃん。ランって名前だったよ」
どっかアスナに似てるよね――というユウキの言葉の通りに、ユウキというよりはどこかアスナに似たプレイヤー。そもそもアバターなので現実の姿とは違うだろうが、雰囲気が酷似しているというべきか。
「ちょっと心配性でさ。さっきも……会いに来てさ」
しかしこの写真に載っていて、今はスリーピング・ナイツにいないということ。そしてこの《幽霊囃子》クエストで会ったということは――
「でも、ちょうど聞いて欲しかったんだ。ボクたちが今、ショウキたちとどれだけ楽しく遊んでるか。だから……だから、心配しなくても、いいって」
そう訥々と語るユウキの表情は、こちらから覗くことは出来なかった。俺やキリト――いや、ここにいる誰にも表情を見せないように、そっぽを向いていて。
「だから、お姉ちゃんに言ったことが嘘にならないように……こ
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