第百二十二話
[2/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
しかして大蛇はまさかブレスが斬り払われているなどと気づかずに、そのままこちらに氷結ブレスを放ち続ける。確かにその行動も正解ではあるが、代償に大蛇には巨大な隙を生じさせ、そこを見逃すキリトではない。
「分かってる!」
キリトの十八番である《ヴォーパル・ストライク》が大蛇に炸裂し、目に見えてノックバックするとともに氷結ブレスが止まる。抜刀術に解き放った日本刀《銀ノ月》を再び鞘にしまいながら、苦しむ大蛇に向けて疾風魔法を付与したクナイを発して、吸い込まれるようにその瞳の光を奪った。
「ぉぉぉおお!」
そしてクナイによって光を奪われた方にキリトが回り込み、《スキルコネクト》も駆使した防御を考えぬソードスキルの乱打を放つ。8連撃ソードスキル《ハウリング・オクターブ》を両手の剣でそれぞれ繋いでみせ、大蛇が苦悶の苦しみをあげていく。
「そこだ!」
苦悶の叫びのために口を開けた大蛇に対し、業火を付与するアタッチメントが装着された日本刀《銀ノ月》の刃が、引き金を引くことで蛇の体内に発射される。身体の内側から炎を伴った刃が突き刺さる感触はいかほどのものか、想像もしたくないが――どうやら暴れまわる大蛇を見る限りは、筆舌にしがたい感覚ではあるらしい。
「……やりすぎだろ」
「後は任せた!」
もはや大蛇ほどのサイズともなれば、こうして暴れ回るだけでも随分に厄介だ。それを指してキリトから文句が飛んでくるが、それはそれ、のたうち回る大蛇から逃げながらそう叫ぶ。ついでに業火を付与するアタッチメントを柄から排出し、ポケットにしまいながら、後のことはキリトに託す。
「――あそこか!」
事実、キリトは既に神社の屋根の上に登っている時点で、もはや大蛇は詰みの状況に陥っていた。キリトが屋根から飛び下りた地点は、先程に発射した日本刀《銀ノ月》の刀身が体内から貫通し、堅固な鱗の鎧が唯一無効になっている場所だ。
「はぁっ!」
そこに針を通すような重単発雷撃ソードスキル《ライトニング・フォール》が炸裂し、体内から貫通した穴から雷撃が全身に伝わっていく。炎の後は雷を浴びることになった大蛇は、キリトの一撃とともに崩れ落ちるとともに、トドメの抜刀術の一撃にHPゲージは完全に0となった。
「一丁上がり……の筈だけどな」
血を払って日本刀《銀ノ月》を鞘にしまい、キリトが隣に着地して。完全に戦闘終了といった案配だったが、明らかな違和感がそこにはあった。
「……構えとけ、ショウキ」
倒したはずの大蛇がポリゴン片となって分解されない。そうなればまだこの世界からは死んでいない、ということであり、まだ戦いが終わっていないことの証左だった。そのことは身を持って学んでいた俺たちは、やがて鳴り響いた地響きに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ