揃う蛇の番
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たちと一緒じゃない!!」
「何の苦労も知らない小娘が!!」
そして、ものすごい速度で二本目のビール瓶を投げつけてくる。後で絶対に仕返ししてやる。そう思いながら女の子を守るために覆い被さろうとする前に、誰かが私とおばさんの間に立ちふさがり、ビール瓶を掴み取る。
「中々の啖呵だ。まだまだ世の中、捨てたもんじゃない」
その声に心臓が跳ねる。後ろ姿しか見えない上にお面を着けているはずなのに、その顔が見えるような気さえする。私はこの人を知っている?
「簪、ラウラ、二人を頼むぞ」
「此処を離れるよ。あとは元士郎に任せておけば大丈夫」
いつの間にか傍にやってきていたメガネを掛けた女の子と銀髪で眼帯をした女の子が私と倒れている女の子を連れてあの場から離れさせられる。待って、あの人の傍に居させて。抵抗しようにも背中が結構痛いのと草履で踏ん張りが効かせにくい所為で抵抗が難しい。だから、少しでもその姿を見ようと首だけでもそちらに向ける。そこには割れて殺傷力が上がったビール瓶を持つおばさんに剣を突きつける黒い騎士の姿があった。
「あれは」
その姿に胸が張り裂けそうになる。その背中を、白いマントとそれに刺繍された紋章を何度も見てきた。いつも前に立って私達を守り、誰にも知られない場所で一人孤独に戦い、周りの重圧に耐えながら私達に笑顔を見せ続けてきた騎士。私が、私達が愛した人。黒蛇龍帝、匙元士郎。最後に見た顔は希望が見えずに絶望しきった顔だった。背中しか見えなかったけど、今は笑えているのだろうか?笑えているのなら、私もその隣で一緒に笑いたい。笑えていないのなら、私が笑わせたい。どっちですか、アナタ?
男性適合者の保護条約に基づき、ISを展開してババアを完全に無力化させてから警察に引き渡し、証拠の動画を撮影していた人たちにネット上に掲載してもらって完全に手出しができない状況にする。祭りの参加者には報道関係者も混じっていたらしく、後日インタビューを受けることで正しく報道してくれると保証してくれた。後片付けを祭りのケツ持ちに任せて社務所の方で手当を受けている親子と子供を庇っていた娘の所へと向かう。
「ラウラ、そっちはどうだ」
「クラリッサ達が簡単に診察しているが問題はなさそうです。一応蹴られた子供は念の為に病院でちゃんと検査をした方が良いかも知れないと。そちらは?」
「わざと態度だけで挑発して武器をもたせた。おかげでオレがISを使っても問題ないなかったからな。それでも逆上して襲ってきたから無力化して警察に引き渡した。証人も大量にいるし、既にネット上で証拠の動画が拡散中だ」
「またもや大失態ですね」
「そうだな。中、入っても大丈夫か確認してもらえるか」
「むっ、ああ、そうか」
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