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はたらく魔王様、天使の飼い方(鈴乃やエミリアともスルものの芦屋と漆原にもオッスオッスされる話)
03真奥、鈴乃の刺すような視線に気づきエロ妄想を中断す
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にいた鈴乃がエミリアの急所を肘で突いて昏倒させた。
 普段のようにレベルが高く隙がない勇者ではなく、哀れで愚かな半人として、死に近い劇薬を全て飲み込もうとした惨めな生き物を、熟練の異端審問官の技で気を失わせた。
「しばらくこのまま眠らせてやろう。見る夢は悪夢かも知れないが、苦しむようなら起こしてやっても良い」
 鈴乃はエミリアの口から毒薬を取り出してやったが、喉の奥に到達したと思われる毒までは洗い流さず、胃洗浄もせずわざと見逃した。
 現実という猛毒よりはましな夢の中で、幸せな夢を見れるよう、両親の出会いが写本のような悲惨なものではなく、母が語ったという夢物語に書き換えられるよう願って、毒薬を残した。
「悪いな、俺もエミリアがここまで落ち込むとは思わなかったんだ。きっとキレて殴られるか、ギャーギャー泣き喚いた後グレて「魔王軍に入る」とか言い出すんじゃないかと思ったけど、親父さんとお母さんの思い出だけは特別だったんだな」
「そうだな……」
 苦しそうに眠る勇者を見て憐れむ鈴乃。もし自分の母親が奴隷で家畜であったならどう思うのか考えてみた。
 まあ自分の両親は体面だとか家の都合で結婚させられたような、どこいでもいる愛も何もない家族だったが、余計な信仰だけは強かった。
 財産だけでなく娘まで幼い頃に教会に捧げて、自分達の宗教的地位を上げ、その後養わなくて済む足手まといもいなくなり、無駄に神の愛と恵みだけを求めて叫んでいたゴミ。
 そんなどうでも良いクズは放っておくとして、今、目の前には神の愛を絵に描いたような男がいる。迷える自分を導いてくれて、闇の中から拾い上げてくれた預言者。神の愛から最も遠い所にいたはずの人物が、その正当な後継者として溢れる愛を振り撒き語っている。
 もし神や天使が人類の苦痛を育てて収穫する怪物で悪魔だとしたら、目の前の魔の王は何なのかは考えるまでもない、愚かな人類でも助け、救い、導いてくれる預言者の王。そう考えた瞬間、鈴乃の恋は爆発した。
 それは宗教的な憧れなのかも知れない、しかしその恋は抑えきれない愛へと進化し、自らの人生で初めて「発情」という思いを感じ、体の方もそれを違和感なく受け止めた。
 以前なら「穢らわしい」「醜い」と感じたはずの感情と体の反応、それは炎に焼かれても燃えない不死鳥のように燃え盛り、目の前の少年のような男にも、獣の角と脚を持つ野獣である本体にも萌えた。
 鈴乃はこの放火者に焼かれ、今までの罪を焼き尽くして欲しいと思った。この羊飼いに導かれ、飼育される家畜として仕えたいとも思った。マグダラのマリアのように、穢れた身でありながら彼の人の弟子として、或いは妻として傍に控え、この血にまみれた両手の罪を、洗い落として欲しいと、この穢れまで含めた自分を、愛して欲しいと思った。
 もう今の気持ちを抑え
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