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はたらく魔王様、天使の飼い方(鈴乃やエミリアともスルものの芦屋と漆原にもオッスオッスされる話)
03真奥、鈴乃の刺すような視線に気づきエロ妄想を中断す
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い方がいいぞ、なんせお前の敵の魔王だからな、勇者を陥れるためなら何でもするぞ」
 再びちゃぶ台の前に座ったエミリアは、また芦屋が出した紅茶入り砂糖のカップを受け取り、一口飲むとこう言った。
「……殺して」
 立ち直るとか、この世の無常を知るとか、「彼氏や旦那の持ち物も断捨離しチャッテ、アタシが一番愛されるの〜」、どころか、不幸のズンドコに落ちてしまったエミリアタソは、魔王により処刑されるのを望んだ。
 神の使徒で勇者なので自死は認められていないらしい。
 両目の下にはクマが出来て、目は絶望によって落ち込み、二十年は老けたように見え、若い女で勇者でもあるオーラもゼロ、と言うかマイナス、背中を丸めた老婆のように衰えてしまったエミリアを見て、鈴乃に聖法気入りの物が無いか聞いてみた。
「なあ、あのうどんあるか? ほら、聖法気入りで芦屋がくたばったあれ?」
「うむ、私の部屋にあるが恵美殿、食べられそうか?」
 エミリアは無言で首を振り、食欲どころか生きていく力さえ無さそうだった。
「なあ、そこまで落ち込むなよ、俺だってまだ確証…」
「おためごかしなんて聞きたくないわっ、もう生きていたくないっ、早く殺してっ! 私なんか産まれて来ちゃいけなかったのよっ、お父さんは魔族に殺されたんじゃない…… きっと、お母さんに殺されたんだわっ、今まで自分に乱暴し続けて、薬で操って家畜として飼っていた化物を… 今まで殺したくて仕方がなかった奴に、やっと復讐できたのよっ! お父さ、いいえ、汚らしいクズの監禁強姦魔が魔族に捕まって殺される前に、もう薬を取ってこれない、薬を出せない人間なんて何の価値も無かったから、魔族に頼んで体を売ってでも剣を借りて人間に復讐して殺したのよっ! その時、お母さんは笑ってたはず、天の掟に逆らって人の命を奪っても、ゲラゲラ笑ってたはずなんだわっ! あああああああああああああああ〜〜〜っ!」
 頭を抱えて絶望の表情のまま泣き出してしまったエミリアには、掛けてやる言葉すら無かった。
「もういい、恵美殿。苦しければこれを飲むと良い。先程の写本にもあった「天使を狂わせる毒」だ。天使の力を強く受け継いだ勇者エミリアならよく効くだろう、残りの人生は安らぎに包まれたまま、夢の中で暮らすといい。少しづつ、最初は一粒も飲めば効くだろう、さあ」
 いきなり人生を捨てて薬物に溺れるよう言い渡した鈴乃。別に恋敵に引導を渡して退場させるとか、二度と立ち直らないように潰すためではなく、人として、耐えられない苦痛の中にいる知人に安らぎを、唯一の逃げ道を示してやった。
「…………」
 エミリアは病んだ目のまま鈴乃から素早く薬の瓶を奪い取り、手渡された一錠では無く、自殺者の目で瓶の中身を全部口の中身に詰め込もうとした。
「ぐうっ!」
 真奥が張り倒すよりも早く、隣り
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