96部分:第十一話 異空間その五
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第十一話 異空間その五
「悪いが俺はアテナの聖闘士なんだよ」
「何を今更」
「一応な。そしてだ」
言葉を続ける。今の言葉には何かを嫌悪するものが宿っていた。
「俺の一番嫌いなものはな」
「貴方の嗜好は聞いてはいませんが」
「まあ聞けって」
少しだけ言葉に笑みを戻してみせた。
「俺が嫌いなのは人を見下ろすような神様なんだよ」
「神とはそういうものの筈」
リィノの言葉は何を今更といった感じであった。
「神は人を統べるもの。だからこそ」
「それを否定するなどとは。貴方は何もわかっておられません」
「わかってるわかってねえってのはいいんだよ」
リィノの言葉だけでなくユニのそれも否定してみせた。
「そんなのはよ」
「いいとは」
「また戯言を」
「俺はな、嫌いなんだよ」
声にはっきりと嫌悪感を入れてきていた。
「そういう神様ってのがな。それも何よりもな」
「神が嫌いだと」
「またおかしなことを」
「神様だって色々いるだろうがよ。違うか?」
ここでもデスマスクと二人の美女の言葉は食い違っていた。
「こっちの神様と御前等の神様とじゃな」
「我等の神アーレス様こそ至高の神」
「それを否定するというのなら」
「少なくとも俺は嫌いだな」
デスマスクはここでも嫌悪感を見せる。
「人を見下すような神様はな。俺の神様じゃねえんだよ」
「ではどうするというのですか?」
「我等が神、アーレス様を」
「答えなんて決まってるだろうがよ」
今度は二人に対してかけた言葉であった。
「倒すんだよ。このデスマスクがな」
「我等への戯言だけでも許し難いというのに」
「アーレス様への暴言」
今の言葉で二人の忍耐が完全に切れてしまった。表情に凄みが宿る。
「最早許せません」
「キャンサーよ」
動きさえ止めた。そのうえでまたデスマスクに告げる。
「最早隠れていても無駄です」
「私達の最大の技で貴方を倒します」
「ほお、どんな技だい?」
デスマスクは二人の言葉を受けて姿を現わした。二人の上に浮かんで宙を漂っている。そのうえで二人を見下ろしていたのであった。
「見せてもらいたいものだぜ。女二人の技をよ」
「女といえど侮らないことです」
「我等は狂闘士」
このことをあえて強調しつつ構えを取る。構えを取りながらデスマスクが前にゆっくりと降りて来るのを見ていた。彼もまた見下ろしたままでいる気はないようであった。
「戦いの中の鮮血に美を求める者」
「今その技を」
「では私からです」
ユニが構えに入った。デスマスクを見据えつつその両手を悠然と動かしていく。
「一つ言っておくことがあります」
「んっ、何だ?」
「我が魔神フルーレティは戦いの魔神」
「魔神は全員そうじゃねえのか?
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