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はたらく魔王様、天使の飼い方(鈴乃やエミリアともスルものの芦屋と漆原にもオッスオッスされる話)
01エミリア出生の秘密i
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否定できない。
 恐怖によって顔が青ざめ、嫌な考えになってしまい血糖値まで下がって、ブルブルと震え出す自分の体を抱いて、反論もできなくなり、魔王の次の言葉を待った。
「まあ、話の枕はこの程度でいいか? 魔族と人間の戦争論は、結局どっちもどっちだ。人間は増えるのが早いし土地がいる、商人とか貴族は金の話に敏感だし、政府も取り立てられる税金が増えたら万々歳、役人も鼻薬には弱いから「襲われた住人のために、早く軍隊を出動させて下さい」だ、軍隊も遊ばせておくより、焼き討ちに参加して略奪して経験値挙げて、エルフのいい女がいたらズタボロにされて孕まされる前に献上したら、いい金になるし出世もできる」
 もう声を押し殺して、口を押さえながら泣き出してしまったエミリアの前に、芦屋が入れた100均のマグカップに安物のティーバッグが入ったままの紅茶と、皿の上に乗せられた角砂糖が出された。
 これから聞かされる話が、もっと過酷になるのだと悟ったエミリアは、毒など入っていそうにない紅茶に角砂糖を全部ブチ込んで溶かし、温い茶で一気に糖分を胃袋に流し込んだ。
 むしろ毒でも入れてくれて、ここからは精神の苦痛ではなく、肉体の苦痛で責めて欲しいとさえ思った。
「さて本題だ、人間と天使の女の出会いって知ってるか? 俺から言っても何だから、その本、声に出して読んでみてくれ、読める所まででいいから……」
 真奥はエミリアが怒り出して誤魔化さないよう、自分の声で自分の耳に入れさせ、キレて魔王をなじり、嘘だと泣き叫んで出ていかないよう、自分のペースで飲み込ませる方法を選んでくれた。
 それは有り難い方法でも何でも無く、自分で自分に死刑宣告をさせるような物だったが、それでもエミリアは勇気を出して、自分への死刑を言い渡した。
「天使の唾液や尿、排泄物は、古くから知られる万能の霊薬である。ヒック、近世でも天使の羽毛は織物としても高価で、その羽根を用いた羽ペンで書くと、うっ、どんな凡才でも名文美文を書き起こせる魔法の品である、ヒック」
 もう序文を読んだだけで、自分の母親や仲間が人間からどういった扱いを受け、どんな目的で「飼われた」のか分かってしまったので、涙を流し、嗚咽で声を詰まらせながら読んだ。
 堕天使である漆原は、その事実を知っていたのか、真実を読み上げさせられている同胞の泣き声に耐えられなくなったのか、無言で部屋を出て夜風に当たりに行った。
「さて、そんな天使の「入手方法」だが、ううっ、飛行中の天使を捕らえるのは困難であるのは言うまでもない。しかし、ヒック、任務によって降臨した天使にも、水は必要である。食料を携えていたとしても、飲み水を掬う場所、人が通えぬ場所での仲間との水浴び、うっ、その最中に痺れ薬を塗った矢を放ち、必ず肺を貫くこと、心臓を傷付けても天使は死なないのでご安心召さ
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