95部分:第十一話 異空間その四
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第十一話 異空間その四
「くっ!?」
「またしても」
「実を言えばな」
彼等から少し離れた場所にデスマスクが姿を現わした。彼は二人の前にいる。
「俺達黄金聖闘士はどいつもこいつも個人主義者なんだよ」
「個人主義者ですか」
「そうさ。俺達が顔を合わせる時は非常時だけさ」
これは事実だった。今はアーレスとの聖戦だけあって特別なのだ。そうした意識は彼自身にもはっきりと存在しているのであった。
「だからだ。お互いのことには不介入さ」
「不介入ですか」
「意外と言って欲しいのですか?」
「いや、それは違うさ」
遊ぶように二人の言葉は否定してみせる。
「悪いがな」
「何が違うのか」
「意味がわかりませんね」
怪訝な顔になってデスマスクに問う。
「不介入、即ち個人主義」
「同志達の死には何も感じないと」
「残念だがそれもまた違うんだよ」
「むっ!?」
「また」
デスマスクは再び姿を消した。それを見て二人は周囲を探った。
「また姿を消したというのですか」
「小癪な」
「黄金聖闘士限定だが言っておくぜ」
姿を消したデスマスクの声は笑っていた。
「俺達はな」
「貴方達は」
「強いんだよ」
デスマスクの声は笑ったまま言葉を続けてくる。
「わかるか?強いんだよ」
「それがどうしたというのですか」
「貴方はまだ。そうして我々を愚弄するのですか」
「愚弄じゃねえよ」
言葉の調子は笑っているがそれでも否定するのだった。
「事実さ」
「事実だと」
「そうさ。俺達が出て来る時は聖域がとっておきの切り札を出す時だ」
「だから何だというのですか」
リィノは周囲を探りつつ剣呑な顔で問うた。彼女の焦りはもうかなりのものになっている。
「貴方がその黄金聖闘士であることはもう承知しています」
「何度も言わせる気ですか」
「そうやって怒ってなかりいると奇麗な顔が歪むぜ」
またしても軽口である。
「聞くんだよ。ちょっとしたことさ」
「聞けと」
「ではどういうことなのですか」
「俺達は強いんだよ」
言葉は複数形であった。
「だからだ。強いのさ」
「強ければどうだというのですか」
ユノもまた苛立ちを隠せなくなっていた。
「貴方が強いのは何度も言いますが既に」
「強いからな。やられるとは思っちゃいねえんだよ」
「また過信を」
「過信じゃねえんだよ、これがな」
姿を消したままのデスマスクの言葉はやや真剣味を増してきていた。
「俺達はお互いの強さがわかっている。それでだ」
「それで?」
「お互いを心配することがないのさ。絶対に大丈夫だってわかってるからな」
「倒されることがないと」
「その通り」
言葉の笑みが会心のものになっていた。
「同志が死ぬとかな。
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