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Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#34 響く声
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それだけでは終わらなかった。
「何をしていたの…? 兄さん…」
やはり、実兄のヴァンのほうを警戒していた様だ。
「何もない… 今もこれまでも…そして これからもだ、ティア お前の誤解は直ぐにわかるはずだ… それまで 待って欲しい」
「…………」
ヴァンの言葉に対しても、ティアは何も言わなかった。
信じるとも、信じないとも、何も。
唯、言い終えた後、船室の方へ戻っていくヴァンの姿を、じっと見つめていた。
「ティア。……きっと、さ。……何か誤解があるんだよ。オレはヴァンさんのことはよく知らないけど、ティアの事は知ってるよ。ティアの、お兄さんなんだから」
アルも傍に来て、そういった。その言葉自体は、ティアにとってはうれしいの一言だ。
だけど、この問題だけは 素直に頷く事は出来なかった。
「ごめんなさい。アル。………これは、私の問題だから……」
ティアはそう応えると、それ以上は何も言わず。
「私も戻るわね…」
そう一言残して、船内へと戻っていった。そのティアの後姿が、寂しそうに見えたのは気のせいじゃないだろう。彼女も、恐らくは兄の事を信じたい。と思っている。だけど、それが出来ない。複雑な感情の渦中に身を寄せているから。
「ティア………。 そう、だよね。仕方ない…かな。だって、オレは知らないんだから。……ティアの事も、ヴァンさんの事も。……なんだか、オレ、無力だ……」
アルは、ティアの後ろ姿を見送った後、力が抜ける気がした。
この言葉を、ティアに聞かれてしまったら、きっとティアもアルの事を心配だろう。
だから、自分自身に出来るのは、いつも通りの笑顔で、接しよう。少しでも気がまぎれる様に。……心配ごとを少なくする様に。
「いつか……、ちゃんと 力になって上げられたら……な………。ん? なんだか、オレ……ティアのことばっかり、な 気がする……。サラや、ガーランドさん達の事も考えてるけれど……」
自分自身が、ティアの事を考える機会が多い事を思い出して、少し戸惑いもあった。
でも、力になりたい、と言う気持ちは決して嘘偽りは無いから、とアルは 軽く首を振るのだった。
そして、その時ルークは… 自分の両手を見ながら、僅かに震えていた。
「オレが… 英雄に…」
誰にも聞かれない程小さな声で、そう呟いていた。
その時だ。
“キィィィン!”
再び、幻聴が聞こえてきた。
「ぐっ! またか!!」
ルークは、懸命に耳を、心を塞ぐ。ヴァンに教えられた通りに。
『………この波動は………なんだ…? ………の、………気配? ……いや、……だが、感じる…』
今までとは少
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