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提督はBarにいる。
明けちゃったけど正月の騒ぎ・その6
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を改造するシステムにエラーが起きた。そして生まれたのがこの『三笠』じゃ。それまで確認されておった艦娘は太平洋戦争に従事しておった者ばかりだった為に、それより古い時代の艦の生まれ変わりであろう三笠は、出撃させる事なく実験台とされようとしていた。そこに手を差し伸べたのが早雪じゃった。

 建造当初から艦娘の艤装を受け付けなかった三笠用に、履くだけで推力を得られるようにする機関システムを開発したり、砲の代わりに刀を持たせたのも早雪のアイディアじゃ。早雪の奴もはりきっておってな、三笠にしか扱えん仕様にした代わりに、普通の戦艦の出力を上回るだけのエネルギーを生み出せる装備を構築してしまった。

 そして三笠は海へと出た。その力は圧倒的。現れた深海棲艦を斬り伏せていった。しかしその性格は歪んでおった……指揮官を持たず、勝手気ままに出撃し、気紛れに帰投しては補給をする。傍若無人という言葉がぴったりの跳ねっ返りだったのよ。

「お、おい。そんな昔の話は止めろ……!」

 真っ赤になった三笠が元帥の袖を引っ張って引き留めようとしている。

「なんじゃい、事実は事実じゃろう?それとも何か?若気の至りという奴が恥ずかしくなったか」

 そんな滅多に見られない様子の三笠を見て、楽しそうにケラケラと笑う元帥。そんな姿を見て、金剛と加賀、それに大淀は『ホントに提督に似てるなぁ……』と半ば呆れたような感想を持ったのはまた別の話。



 ……さて、話を戻そう。そんな跳ねっ返りの三笠じゃったが、早雪にだけは懐いておってな。まぁ、自分を戦えるようにしてくれた恩人というのもあったんじゃろうて。しかし、早雪は死んでしもうた。研究に没頭しすぎた過労からな。儂は一時死を考える程に落ち込んだが、それを支えてくれたのは三笠じゃ。

『早雪は私に希望をくれた。今度はそれを貴方に返す番だ』

 あの時の言葉はまだ覚えておるよ。そして儂等はケッコンをして、法が出来てすぐに結婚もした。娘夫婦には娘……つまりは儂の孫に当たる子も出来てな。皆に祝福されたよ。孫娘はよう出来た子でな、儂に憧れておったのか自ら志願して艦娘になりおった。今も現役で働いておるからな、そこで世話になろうと思う。



「……成る程ねぇ」

 感動的な話を聞いた後だと言うのに、提督はニヤニヤと不敵な笑みを浮かべている。

「なんじゃ?気持ち悪い笑みを浮かべおって」

「ジジィ、お前の孫ってのぁ……あの『祥高』とかいう娘だろ?」

 途端に狼狽えて啜っていた茶に噎せかえる元帥。

「なっ!?ななな、何を根拠にそんな……」

「根拠だぁ?んなモンおめぇの行動から察していけば読めるっての。国内とはいえ僻地の鎮守府にワンオフカスタムの第一世代型の艦娘!米軍との協力関係に渡りを付けた
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