第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#44
FAREWELL CAUSATIONW〜Justice To Believe〜
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く》 らに同じ、
猛り狂う獅子の気炎も、潜む者には張り子の虎が如し。
策謀を用いず絶対的な自信の許、正々堂々前から来る相手に
この 「逃げる」 という方法は案外役に立つ。
近距離パワーで向かってくる者に対し同等の能力が無い以上、
馬鹿正直に真正面から交戦する必要はない。
コレは今現在シャナが、大刀も長鎖も用いず焔儀のみで戦っているコトを意味する。
選択肢が無数に有れば人は迷うもの、当然戦術も戦略も中途半端になり
その練度は魯鈍の一途を辿るのみ。
棄ても護りもせず、肝心なコトは一切保留したまま利を得ようとする愚者に、
勝利の女神は決して微笑まない。
“悪” ですらない下賤なる者に、待ち受けるモノは破綻の二文字。
ソレを熟知している紅世の少女が、停滞状況を打破するべく声を張り上げる。
「一体! いつまで “こうしている” つもりですのッ!
姑息に逃げ回り相手の背後から狙い撃つがフレイムヘイズの誇りですの!?
戦士で在るなら潔く姿を視せたら如何!?」
声紋を操作して紡がれた言葉故に、声は声量に関わらず反響し全面に届く。
ソレに対する返答、同様の法儀で以て居場所を秘したまま紡がれる森厳な木霊。
『――おまえは二つ、勘違いしてる……
――誇りっていうのは、言葉じゃなく行動で示すもの……
そして、今の私は 「戦士」 じゃない……
――知らないの? 姿を視せないモノなのよ……
“魔術師” って云う存在は……』
「こ、こんな姑息なフレイムヘイズ、初めて視ましたわ……ッ!」
それなりの効果を狙って放った諫言を、逆に反論される形となった
ティリエルは忌々しげに花爪を噛む。
そしてその間にも棚引く裂閃、
苦境に陥ったわけではないが完全なる膠着状態、
このまま 『星の白金』 が戻るまで粘られたら
絶対的に不利な戦形になる。
(エンヤ姉サマ、どうすれば……!?)
遠隔の少女が行ったように、意識と無関係に甦る存在。
その者との絆かティリエルの才能か、
去来した追憶は決定的な意味を以て心奥に木霊した。
“ 『霧』 よ――”
「霧? でございますか?」
窓のない部屋、瀟洒だが深い陰影を称えた調度品が斑なく並ぶ
私室の中央で、現世の麗女と紅世の美少女は共に温めたカップを傾けていた。
外からは少年と若い女性の歓声、
鳥の羽ばたきと鉄と路面が擦れる音も聞こえる。
「あぁ、我がスタンド 『正 義』 は霧のスタンド。
実体なき虚像がため討つ事は能わず。
万の軍勢だろうと山の巨獣だろうと、スベテはただ無に帰するのみ。
スタンドにダメージが与えられぬ以上
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