91部分:第十話 サガの力その八
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第十話 サガの力その八
「まだ。彼の完全な死を確かめるまでは」
「完全な死ってよ」
「シロウ、わかっている筈だ」
ロジャーも再びシロウに言ってきた。
「先の我々と彼等の戦いでも。黄金聖闘士がどうであったのかな」
「あの時かよ」
シロウはロジャーの言葉を聞き顔を顰めさせた。
「アテナを追い詰めたその時だったな」
「あの時もまた黄金聖闘士達がいた」
やはり彼等は聖域にとって最大の戦力であり切り札なのだ。言うならば聖域の象徴とも言っていい。そうした存在なのである。
「そして彼等がライブラの武器を手にしたその時に」
「くっ」
ここまで聞いたシロウの顔が歪む。
「忘れる筈がねえ。あの時の悔しさはな」
「そうだ。それで戦局が一変した」
この時アテナの軍勢はアーレスの軍勢に最後の一分と言ってもいいような状況にまで追い込まれていたのだ。敗北は目の前であり聖域の陥落も時間の問題と思われたのだ。しかしここでライブラの武器の使用が認められ戦局が一変してしまったのである。
「武器を持った十二人の黄金聖闘士達により我々は」
「俺もまた敗れた」
ライネルも言うのだった。
「あの時にな」
「俺達魔神全員がたった十二人に敗れちまった」
シロウはその時のことを忌々しげに語る。
「それだけでな。あいつ等が武器を持っただけで」
「その時を思い出すのだ」
ロジャーも言う。
「ならば。迂闊なことをするな。いいな」
「わかったさ。じゃあ」
「むっ!?」
ここでエリシャの顔色が変わった。そのうえで今までサガがいた場所を見るのだった。
「やはり」
「生きているのだな」
「はい」
ロジャーに対してもその顔で答えた。
「この小宇宙は。紛れもなく」
「俺の爪を受けても生きているか」
ライネルは表情を変えずに述べるのだった。
「やはり黄金聖闘士だけはあるか」
「先程と同じ陣を組め」
ロジャーはこう指示を出した。
「戦闘態勢でだ。いいな」
「ああ、わかったぜ」
「わかりました」
シロウとエリシャがそれに頷く。ライネルは既に動いている。サガがいた場所を囲んでまた身構える。するとそこに黄金色の小宇宙が沸き起こりそこから彼が出て来たのであった。
「やはり生きていましたね」
エリシャが彼に対して言う。
「ジェミニのサガ。あの程度では」
「見事だと言っておこう」
そのサガの声も聞こえてきた。だがまだ小宇宙が沸き起こっているだけである。その黄金色の小宇宙が。
「このサガに拳を放てることをな」
「ふざけるんじゃねえ」
シロウはその彼に剥き出しの敵意を見せていた。
「手前をやるのに。何でそこまで言われなきゃならねえんだよ」
「だから待てシロウ」
無意識のうちに前に出ようとするシロウを
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ