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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十七話 和平か、講和か
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来ん。今のところは様子見だ」
「……」
「ペイワードもその辺りは分かっている。お互い長期戦は覚悟しているよ」
和平か……、難しい事ではある……。議長は現時点ではと言ったが将来的にも可能性は低いだろう。しかし和平を結べればそれにこしたことは無い。幸い帝国は改革を進めつつある、政治的、イデオロギー的な対立点は徐々に少なくなっているのだ。
「今日君に来てもらったのは君の考えを訊きたいと思ったからだ」
「私の考えですか」
トリューニヒト議長が鋭い視線を向けてきている。普段の人好きのする笑顔は無い。
「君を国防委員長に任命したのはネグロポンティ君の推薦があったからだ。私は彼を信じた、おそらく君達の間ではクーデター発覚後の展望について何度も話し合いが有ったはずだ。だから私は何も訊かずに君を国防委員長に任命した。またそんな悠長な事をしている様な状況でもなかった。彼方此方で逮捕者が出ていたからね」
その通りだ、悠長な事をしている状況ではなかった。何より逮捕者を最も出したのは軍と国防委員会なのだ、蜂の巣を突いた様な騒ぎだった。逮捕者の穴は早急に埋めなければならない。クーデター発覚後もっとも忙しい思いをしたのは国防委員会と軍だろう。
第三艦隊にアップルトン中将、第九艦隊にクブルスリー中将、第十一艦隊にホーウッド中将を配した。各艦隊の司令部要員、分艦隊司令官も逮捕者の穴埋めをしている。三個艦隊が精鋭と呼ばれるまでになるには時間がかかるはずだ……。
「だがもうそろそろ良いだろう。君も一カ月近く国防委員長を務めそれなりに思うところは有ったはずだ。国防委員長として、自由惑星同盟はどのような国防方針を持つべきか、君の意見を私に聞かせてほしい」
「……」
TVでは結婚式の様子が流れている。今度は女性達が歌を歌っている。宇宙艦隊司令部に詰める女性兵らしい。美しい女性達の歌声でさらに歓声が沸き上がっているところをトリューニヒト議長がTVのリモコンを押し映像が消えた。部屋に静寂と緊張が生じる。その圧迫感に負けないようにゆっくりと話し始めた。
「私は帝国との間に和平を結ぶのは難しいと考えています」
「……」
「帝国がそれを望まないという事も有りますが、大多数の同盟市民もそれを望んではいません。主戦派に対して嫌悪感を抱いても、同盟が不利な状況に有ると分かっていても和平は望んでいない……。市民はこのまま国力の回復を待ち、帝国に反撃する事を望んでいるのです。和平を望んでいるのはごく少数の市民だけです。この状況では和平を結ぶのは難しいでしょう……」
トリューニヒト議長は何も言わない、ただ黙って私を見ている。ますます圧迫感が強まった。
「このままいけば同盟と帝国の戦いは避けられません……」
「……それで」
「戦いは避けられない、それを
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