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Three Roses
第二十八話 再会した薔薇達その六

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「そしてマリーと太子では」
「どうなのでしょうか」
「お二人の場合は」
「ええ、互角よ」
 そうした状況だというのだ。
「資質は」
「互角ですか」
「お二方は」
「そうなのですか」
「ええ、ただマイラお姉様もおられるわ」
 このこともだ、マリアは言った。
「だからね」
「マリー様はお二方をですか」
「相手にしなければならない」
「そうなりますか」
「旧教との状況次第ではね」
 まさにというのだ。
「お二方を同時に相手にすることになるわ」
「そうなりますと」
「マリー様でもですね」
「厄介ですね」
「ロドネイ公達がおられるにしても」
「それでも」
「そうよ、だからね」
 それ故にというのだ。
「マリーに何かあれば」
「その時はですね」
「マリー様をですね」
「お助けしますか」
「勿論よ、その用意はしておくわ」
 常にとだ、マリアもこう言って手筈を整えていた。何かあればすぐにマリーを助けられる様にしようとしていた。
 新王はまだ子供だ、だが。
 義母であるマリーによく懐いていた、マリーはこのことに喜んでいた。だがマリーは喜んでばかりもいられなかった。
 そのマリーにだ、彼女の側近達が言うのだった。
「北の王国の諸侯ですが」
「彼等もです」
「新教徒達が増えてきています」
「次第に優位になってきています」
「もう少ししますと」
 マリーはその状況を聞いて言った。
「あの国も、ですね」
「はい」
 デューダー卿が外務卿として知り得たことから話した。
「あくまで徐々にですが」
「それでもですね」
「あの国の諸侯にも新教徒が増えています」
「民衆にも」
「左様です」
「ではまずは北の王国とですね」
「統合しそして」
「残る二国とも」
 島国、そして半島もというのだ。
「二つの王家は大公家となりますか」
「はい、そうなるかと」
 まさにとだ、今度は大司教が答えた。
「どちらの王家も」
「そうですね、元は同じ家でしたし」
「家はそのままですが」
「王家ではなくなりますね」
「我が国は王です」
 あくまでというのだ、このことは。
「そこは変わりません」
「四国になろうとも」
「王の上に立つのは皇帝ですが」
「皇帝の座は帝国のもの」
「そうです、古の帝国の後継者です」
 かつてこの国も含めた大陸を一つにしていた国だ、広大な領地と多くの民何よりも莫大な富と強大な軍事力を持っていた国だ。
「あの帝国は」
「教皇よりそのことを認められた」
「東にも帝国がありますが」
 その国は大陸、彼等の文明圏の東の果てになる。凍てつくあまりにも広大な領土を持つ国でありその実態はまだよく知られていない。
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