第二十八話 再会した薔薇達その二
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「本当に」
「いつもこうして飲んでいても」
杯の中のその薔薇達を見つつだ、マリアは言った。
「こうして三人で飲むと」
「懐かしさも思い出して」
「そしていつも会いたいという顔を見て」
そしてとだ、マリーに言うのだった。
「楽しいからね」
「だからですね」
「いつもより美味しいのよ」
「あの時の味ですね」
セーラも言った。
「それぞれの国に行く前の」
「まさにその味ですね、そして」
ここでだ、マリーは二人にこうも言った。
「また機会があれば」
「その時は」
「こうして」
「飲みたいですね」
是非にというのだった。
「次は何時になるかわからないですが」
「何時になるかは」
マリアは遠い目になってだ、ここではこう言った。
「その何時かは永遠に来ないかも知れないわね」
「そうですね」
「ええ、全ては」
それはというと。
「神の思し召しよ」
「神がそう願われれば」
「また会わせてくれるわ」
「そうもなりますね」
「ええ、ただ」
「それでもですね」
「会えなくとも」
マリアはあえてこの言葉を出した、そのうえで。
自身の葡萄酒を飲みその中にある三色の花びらの味と香りも楽しみつつだ、そのうえで言ったのだった。
「この味は忘れないわ」
「私もです」
セーラは飲み終えてから言った。
「再び味わえたこの味を」
「三人で味わう薔薇は」
それぞれを表す、だ。
「この上なく素晴らしい味よ」
「本当に」
「だからですね」
「ええ、最後の審判の時まで」
「忘れないです」
二人はまたマリーに言った、そして。
ふとだ、二人は共にだった。中庭、二人のその前にある薔薇達の中の黒薔薇も見てだった。急に静かになって言った。
「出来ればこの薔薇も」
「共にあれば」
「マイラ姉様はやはり」
「あのままなのかしら」
「時々お会いしてはいます」
マリーは二人に話した。
「そうしてはいます」
「そうですか、では」
「前よりはなのね」
「そうなっていますが」
しかしというのだ。
「あまり」
「距離は、ですか」
「どうにも」
「あまり近付いているとはです」
マリーはやや沈んでそのうえで話した。
「やはり」
「そうですか」
「どうにも」
「残念です」
そうだというのだった。
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