第三十八話 夏になってその十
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「そして家族も大事にする」
「そうした会長さんになりたいの」
「勿論誰にも公平に親切に」
「わかったわ、その心意気ならね」
私は阿波野君に答えました。
「ずっとよ」
「この気持ちを忘れないことね」
「初心忘れるべからずっていうから」
私もこの言葉は忘れない様にしています、お父さんに子供の頃よく言われました。
「いいわね」
「はい、この気持ちを忘れないです」
「そうしてね、それじゃあ私こっちに行くけれど」
前に行けば食堂です、右に行けば図書館やプールの方に行く道です。その分かれ目に来て私は正面を見て言いました。
「阿波野君はどっちに行くの?」
「僕は右に、ちょっとそっちで観たいものがありまして」
「図書館?」
「いえ、プールです。ちょっとさっき忘れものをしまして」
プールにというのです。
「タオルを」
「ああ、更衣室に」
「ですからちょっと行ってきます」
もうプールの授業がはじまっています、天理高校のプールは室内プールですが天井は開閉式になっています。
「それで先輩は二類の方にですか」
「そっちに用があるの」
食堂の方に二類の校舎があるからです。
「同じ詰所の娘がいてね」
「ということは同じ大教会の」
「そう、その娘が二類にいるから」
それでなのです。
「あること伝えにね」
「うちの大教会の人ですか」
「二年の娘よ。大阪の教会の娘さんなの」
私は阿波野君にこのこともお話しました。
「吹田の方の」
「吹田市ですか」
このことを聞いてです、阿波野君はこんなことを言いました。
「奥華も色々なところに教会ありますね」
「二百六十か七十教会があるから」
奥華大教会の下にです、それだけの分教会があります。
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