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第三十八話 忍び寄る悪その一

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                 第三十八話  忍び寄る悪
 優花は優子、若しくは龍馬と今度は佐世保に一緒に行こうと真剣に考えだしていた。それで療養所に行ってだった。
 岡島にだ、佐世保のことを聞くと岡島は優花に笑って言った。
「いい場所だよ」
「はい、実はあそこも」
「行ったことがあるって言ってたね」
「はい、それで今度は姉さんか友達とって考えてますけれど」
「うん、是非ね」
「一緒にですね」
「行くといいよ」
 こう言ってだ、岡島は優花に優しく笑って話した。
「あそこもね」
「そうですよね」
「確かに遠いけれどね」
 優花達が今いる長崎からはだ。
「同じ県内でも」
「北と南で随分離れてますね」
「うん、街の性格も違うしね」
「ここは商業港ですね」
「貿易からはじまったからね」
「オランダや清との」
「歴史にある通りだよ、けれど佐世保は」
 あちらはというと。
「軍港だから」
「同じ県の港町でも本当に違いますね」
「そうだよ、ただあの町は静かでね」
 それなりに人は多いがだ。
「いい場所だよ」
「本当にそうですね」
「アメリカ軍もいて」
「アメリカ海軍ですね」
「あの人達も紳士でね」
「よくそう言われてますね」
「そうだよ、けれどね」
 ここでこうもだ、岡島は優花に話した。
「体格はね」
「全然違いますね」
「向こうは本当にバスケットボーラーやプロレスラーみたいな人がいるから」 
 アメリカ軍の方はというのだ。
「アメフトやっていたりね」
「あれは凄いですからね」
「アメフトは格闘技だよ」
 アメリカンフットボールだ、プレテクターで身を包んでアーモンドボールを巡って試合をするアメリカで人気の球技だ。
「ラグビーと一緒でね」
「どっちも激しいスポーツですね」
「そう、それでね」
「アメフトをやっていると」
「もうね、体格がね」
「大きくて筋肉質で」
「そうした人がやるものでね」
 体格がないととても務まらない球技だからだ。
「また違うよ」
「体格は」
「アメリカ軍とはね」
「どうしてもですね」
「最近は平均身長は変わらないかもだけれど」
 アメリカ人と日本人のだ、日本人の体格もよくなってはいるのだ。
「軍人さんはね」
「どうしてもですね」
「負けるね」
「それは仕方ないですね」
「うん、自衛官は身長や体重はね」
 確かにチェックはされるがだ。
「それでもね」
「アメリカ軍よりはですか」
「幅があるというかね」
「小柄ですね」
「そうした傾向にあるみたいだからね」
 特に海自はそうであろうか、アメリカ軍の将兵と比べると全体的に小柄に見える。
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