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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十六話 キレるほどに恋してる
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のは髭のメックリンガー提督だった。捕虜交換式で見たから覚えている。芸術家提督が気持ち良さそうに演奏していた。演奏も上手だった、趣味が多才って良いよな。僕も何か始めようかと思ったけどお金がかかるから止めた。うちは父さんが居ないからね、母さんに迷惑はかけられない。

聖歌隊が賛美歌を歌っていたけど、その中に凄く歌の上手い人が居た。背の高い逞しい男の人で髪の毛がオレンジ色だった。もの凄く大きな声で朗々と賛美歌を歌う。感心していると解説者がビッテンフェルト提督だって教えてくれた。

ビッテンフェルト提督って黒色槍騎兵を率いる帝国の名将だ。シャンタウ星域で大活躍したしアラルコン提督をフェザーン回廊でボコボコにしちゃったのも黒色槍騎兵だ。その司令官が賛美歌を歌っている。凄い、帝国軍人って多才なんだ。でも皇帝が神父をするくらいだから皆色んなことが出来るのかもしれない。

賛美歌を歌い終わると新郎新婦が退出したけどユスティーナがもうちょっとで転ぶところだった。どうやらドレスの裾を踏んづけたらしい。ヴァレンシュタイン元帥が両手で抱き寄せるようにして支えていたけど、ちょっと危なっかしかった。男なら片手で支えるくらいの逞しさは欲しいよ。今から体を鍛えなきゃ……。

結婚式が終わると披露宴だった。主賓は元帥のお父さんの親友でゲラーって言う人だった。平民で弁護士らしいけど、その人が主賓? みんな驚いていた。でも一番驚いたのはゲラーさんだろう。だって皇帝と国務尚書とテーブルが一緒なんだから。僕ならお金をもらっても嫌だし、お金を払っても断るよ。

結婚式は厳かな感じだったけど披露宴はどんちゃん騒ぎみたいな感じだった。国務尚書は野次を飛ばすし皇帝はそれを聞いて笑い出す。皆好き放題で披露宴って帝国も同盟もあまり変わらないんだと思った。母さんもあんまり違和感ないわねって言ってた。

披露宴で一番印象に残ったのは余興だった。艦隊司令官全員、メックリンガー提督は此処でも伴奏だったから、彼を除いて二十人近い人数で歌を歌ったけど、これがびっくりだった。歌は“キレるほどに恋してる”、今フェザーンで人気急上昇の女性グループ、ヴァーチャル・ガールの最新曲だ。

凄い綺麗な御姉さん達十人がちょっとエッチな格好で激しく踊りながら歌う。“キレる、キレる、ブチキレる、わたしキレる程貴方に恋してる”って歌う。同盟でももの凄い人気の有るグループで“キレるほどに恋してる”は十週連続で売り上げナンバーワン、リクエスト曲ナンバーワンだ。それを銀河帝国の提督達が歌った!

クラスの女の子達が時々真似をして踊っているけど豚がタップダンス踊っているみたいだからクラスの男子はそれが始まると皆見ないようにしている。見苦しいからじゃなくて吹き出しそうになるから。笑うとあいつらキレるんだ、おかげでうちのクラ
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