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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十六話 キレるほどに恋してる
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囲気が漂っている。同盟軍にはあんな人は居ない、良い意味で帝国貴族らしい感じがした。皆も元帥が恰好良いって言ってた。特に女の子は“お爺ちゃん恰好良い、私も手を繋いで歩きたい”って騒いでた。ミーハーめ、恰好良ければなんだっていいんだ、女って最低!
花嫁は文句なく綺麗だった。白のドレスが良く似合ってる。頭に王冠みたいなティアラっていう飾りを着けていたけど、ゴールデンバウム王朝に代々伝わるティアラで前にこれを使ったのは旧リッテンハイム侯爵夫人、今はクリスティーネ皇女殿下だと解説者が言っていた。今回は特別に使用が許されたそうだ。
ウェディングドレスもトレーン? あのズルズル引き摺るやつだけどこれが七.六メートル。これも「ロイヤル」って呼ばれる長さで帝国では皇族以外は使用禁止だって言ってたけど特別に使用が許されたようだ。理由は全宇宙に放送するから、みっともない結婚式では帝国の威信に傷が付く、そんな事は許されないって事らしい。だから特別に皇帝から許可が下りたとか……。
解説者が新婦の衣装は貴族でも本来許されるものではなく、特例で皇族並みの待遇だって言っていた。その事で妙な事を言いだした。実はヴァレンシュタイン元帥は皇帝フリードリヒ四世の孫だって噂が有るらしい。こうも特別扱いされると本当かもしれないって……。
もっとも妙な噂は他にもあるそうだ。何でも元帥はリヒテンラーデ侯の孫だとか……。どうやら元帥が平民なのに慣例を破って宇宙艦隊司令長官になった事や元帥になった事で本当は権力者の落胤じゃないかと噂が立ったという事らしいけど、本当にそれだけかな?
花嫁のユスティーナ・フォン・ミュッケンベルガーは優しそうな人で大きな緑色の目がとっても綺麗な人だった。解説者も花嫁は優しい女性で、元帥が負傷したときは一日おきに見舞っていたとか言ってた。
貴族の娘って高慢で我儘なお姫様ばかりかと思ってたけどそうじゃないんだ。可哀想だな、元帥みたいなロクデナシと結婚するなんて……。恋人だったらしいけどユスティーナは騙されてるんだ。元帥は嘘吐きでロクデナシだからね、多分すぐ離婚したくなるに違いない。
クラスの女の子は“大したことない、ブス、タレ目”とか言ってたけど、お前らなんかよりずっと綺麗で素敵だ。不細工な女に限って美人を貶す、うちのクラスは学年一のブス揃いだ。他のクラスからは地雷教室と言われている、足を踏み入れたくないそうだ。僕なんか毎日足を踏み入れてるのに。
二人が神父の前に着くと今度はヴァレンシュタイン元帥が黒真珠の間に入ってきた。捕虜交換式の時とは違ってコバルトブルーのマントと白のサッシュだ。サッシュには赤の縁取りがしてある、意外に元帥はオシャレだ。でも母さんは“元帥は黒の方が似合うのに……、まあ結婚式じゃ黒は無理よね、でも残念”と言って笑って
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