プロローグ
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た。そもそも、男の幼児を殺す理由が分からない。だから、少し疑問に思いながらも、彼は流す事にした。しかし、彼は気付いていなかった。自身が推測した結果は、殆ど当たりだったという事に。そして、やはりまだ体が子供の所為か突然の眠気が襲い、抗う事なく眼を閉じていくのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
撫でる。今も気持ちよさそうに眠る、愛しき我が子に、愛情を込めた微笑みを向けて、子供の母親であろう女性は、起こさないようにゆっくりと、幼児の頭を撫でた。
「ぐっすりと、眠ってるようだな」
すると、後ろから男性の声が耳朶に響いた。振り向けば、そこには一人の男が、女性と同じような微笑みを浮かべて、撫でられている幼児に視線を向けていた。それに女性は答えるように言う。
「えぇ、本当に気持ちよさそうに寝てるわ」
「…………そうだな」
男性も頷いて、幼児に近付き優しく一撫でした。ここを見れば、何処にでもある家族の平和な日常だ。すると、女性は穏やかな笑みから一転させ、愛しい我が子の為に命を賭けた行為をしてくれた助産婦に感謝の言葉を告げた。
「本当にシフラーとプーアーには感謝しないといけないわね」
「あぁ、そのお陰でこうして我が子に触れられるんだからな」
思うのは自分たちの子供の為に、命を賭けて救ってくれた助産婦の二人の姿だ。彼女たちは命じられていた。もしも生まれてくるのが男児ならば殺せと。しかし、彼女たちはソレを背いたのだ。あの『王』からの命令に対して決して怯まなかった。もう、感謝の言葉しか出ない。本来なら生まれてすぐ殺される我が子の命を救ってくれたのだから。女性は未だに撫でながら、新しい王が自分たちに課した命令は酷いものだった。
「何故、あのお方はこんな事を言い出したのでしょう?」
女性は眉を寄せて、彼の王が課した命を思い出す。まず一つ目、倉庫を建築させる事。自分たちにだけ過酷な重労働を強いたのだ。そして最後の二つ目は生まれてきたのが男の子ならば殺害する事である。いきなり告げられたソレに誰もが絶句する他なかった。すると、男性は推測という形で言った。
「恐らくあのお方は、恐れているのだ」
「恐れている? なにに?」
「増えすぎている我々にだ」
だから恐れているのだと男は言った。故に、これ以上増えないように殺す術に出たのだ。遥か昔、彼らの先祖である一人の男に、偉大なる『神』はこう告げたという。「私は、貴方の子孫をおびただしくふやす」と。その約束の通りに、先祖の子孫は増えていった。それはもう多く、大量に。だからこそ、怖いのだ。もしかしたら、反乱を起こしてくるのではないのかと。
そ
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