第40話 表裏一体
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ても濁っているような気がして…
「そう…ですけど」
なんとか返事はできたけど、上擦っている。お構いなしにと彼女は言葉を綴る。
「笹倉大地…彼を。ご存知ですよね?ううん、知らないわけがありませんよね?」
「…ええと、君は?」
怖い、の一言に尽きる。くるりと、彼女は振り向いてそういう彼女は、さっきまでのおとなしい雰囲気は何処へ行ったのか、目つきから既に人変わりしている。十中八九、大くんの同級生なのは変わりないと思うけど…瞬間感じた執拗さは一体?
「ここで話すのはよろしくないかと思います。この後時間があればすぐそこの公園で…」
「……」
無言で頷いた後、彼女は踵を返して店を出て行った。
お手伝いを始めて十分足らずでこの状況。終わるまであと三時間もあるけど、彼女は本当に待つつもりなのだろうか。三時間後、さっきの女子高生が待っていないことを刹那に願いつつ、気持ちを切り替えて手伝いに集中することにした。
あの子と関わっちゃいけない。穂乃果の頼りにならない勘がそう告げていた。
…あの子はずっと待っていたみたい。
いないと信じて、待ち時間に飽きて帰ってしまったと信じて、一応お手伝いが終わった後に公園にやって来たけど。残念なことにあの女子高校生はいた。どうしようかと悩んだ末に、もしかすると大くんに関わるとても大切な話があるのかもしれないと思い、あの子の元に歩き出す。先入観で行動するのはダメだよね、まずは相手とちゃんと向き合って話さなきゃ!
心の中でそう念じて、第一声は穂乃果から声をかける。
「あの…ごめんなさい、お待たせしました」
「…いえ、全然問題ないです」
ベンチに座っていた彼女は穂乃果が来たと認識すると、残っていた缶の中身をぐいっと一飲みしてそのまま近くのごみ捨て場に捨てる。制服のスカートを軽く払ってから、穂乃果の前に歩み寄ると軽くお辞儀をしてきた。穂乃果も彼女の行動を見習ってお辞儀。
「初めまして。私の名前は大槻未遥、大地君の…前に通っていた高校の同級生で…大地君の彼女ですです」
「………ほぇ?」
今、穂乃果はとてつもなく重要で、聞いちゃいけないような事を聞いた気がする。大くんの…カノジョだって?
「ええと…ごめんなさい、もう一度聞いてもいいかな?」
「私は笹倉大地君の許嫁です」
「…んんん?」
首を傾げる。発音というか、聞いているぶんには間違いは無いと思うけど…ううん、そもそものところが間違っているけど、語弊がある方な気がする。気のせい
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