暁 〜小説投稿サイト〜
卍(まんじ)
卍(まんじ)
[7/15]

[1] [9] 最後 最初
感触を楽しんでいる。
 九兵衛も妙の首から背中にかけて、ゆっくりと手で愛撫を繰り返していた。
「すべすべして気持ちいい」
「僕も」
 普段は2人とも束ねている長い髪が下ろされ、妙は茶髪が肩の鎖骨のあたりまで、九兵衛は黒髪が腰のあたりまで届いている。
「ねえ、九ちゃんのありのままの左目みたいな。眼帯外しちゃっていい?」
 えっ?
 彼女を守るために犠牲にした左目。その目が今どうなっているのか。
 ややもすれば醜くなっているであろう左目を、彼女に見られたくなかった。
「その……」とためらう九兵衛を気にもかけず、妙は九兵衛の黒い眼帯を外し、白い枕元に置く。
 露になった九兵衛の左目は、瞼が閉ざされたまま、それを覆うように大きな傷がつけられてある。
「すごい……」
 思わず声を漏らす妙に対し、九兵衛は顔から火が出る思いで、
「こ、こんな醜い姿、妙ちゃんに晒したくなかったよ」
「ううん、全然醜くないよ。あの時私を守ってくれて、ありがとう……。って、九ちゃん……!」
 ありがとうと言われて、さらに九兵衛の羞恥心が高まり、思わず目を伏せながら頭を妙の胸元にうずめてしまっていた。
 九兵衛が見てみると、妙の2つの控えめなふくらみがある。坂田銀時と長谷川泰三が『ロバート・絶壁ス』と呼んだように、妙の体形はスレンダーだ。
 慌てて妙が手で隠そうとする前に、九兵衛は最も敏感な部分、薄桃色の突起を口にくわえていた。
 それとともに、今まで大人になっても満たされなかった『ある欲求』による衝動が、九兵衛の頭の中全体を支配する。
「んんっ……」
 妙がきつく目をつむり、彼女の頭は思いっきり前に傾く。
 九兵衛は肉食獣のようにぐいぐいと妙の胸に顔を押し付け、素早い動きで桃色の先端を舌先で転がし、断続的に吸うような音を立てた。もう一方の胸を、あいた右手で手早く揉み解していく。
 ぽわぽわ。ちゅうっ、ちゅばっ、ぴちゅっ……。
「あ……ん……ふぁ……あ……」妙はくすぐったそうに頭を振り、片手で白い敷布団のシーツをつかみながら、「や、やだ……九ちゃんったら、赤ちゃんみたい」
 涙がにじみ、据わった目で、自分の胸に頭をうずめる九兵衛を見つめた。
「じゃあ、妙ちゃんが母上だね」九兵衛は顔をあげて、「よかった。僕が生まれるのと引き換えに僕の母上は亡くなったんだ。妙ちゃんが僕の母代わりになってくれたら、とっても嬉しい」
 そうだった。
 妙は九兵衛の悲劇的な人生を思い出した。
 九兵衛の母は、彼女が生まれたのと引き換えるようにして死亡し、父が後妻を迎えることで、九兵衛の居場所がなくなってしまうのを恐れて、父は彼女を男として育て上げたのだった。
 そのことで九兵衛は常人以上に逞しくなったが、同時に母の思い出が全くなく、また、赤子には必要な『あの欲望』
[1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ