卍(まんじ)
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を撫でまわしながら、
「ねえ、九ちゃんのありのままの姿を見せてくれる……?」
一瞬九兵衛、言葉の意味が分からず戸惑ったが、すぐに意味を理解し、
「あ、ありのままって……妙ちゃん……!」
羞恥心で一瞬戸惑い、頬を染めたものの、九兵衛自身も、薬の影響で自分の内側から湧き上がってくる体の疼きを抑えられなくなっていた。衣服を着ていることのもどかしさが、どんどん大きくなってくる。
近藤風に言うなら『ムラムラがどんどん膨れ上がっている』状態だ。
「じゃ、じゃあ……」九兵衛は言った。「僕にも、妙ちゃんの全部を見せて」
「うん、喜んで」
躊躇い一つない妙の言葉に、九兵衛は再び理性が押しつぶされそうになるが、最後の理性を振り絞って周りを見回す。
新八の部屋。6畳半の和室。
扉と窓はすべて閉ざし、つっかい棒までつけられてある。
でも、あと1つ足りない。この部屋にあるのか。
ぐるぐる回る頭の中で、九兵衛は必死に探した。
机、本、部屋のいたるところに貼られた寺門通のポスター。違う違う、どこだ?
あった。
押入れが。
この中になら、布団が少なくとも一式入っているだろう。
九兵衛は立ち上がって、白い外套をもどかしげに脱ぎ始めながら、心の内で安堵する。
ちらりと振り向くと、すでに妙は、腰の帯を全てほどいていた。
新八は閉ざされた部屋の入り口の前で、姉と女友達が何をしているか、戸に耳をくっつけて懸命に聞こうとしていた。
人間、聞くなと言われると、余計聞きたくなるものらしい。
すると、何やら重いものが畳にぶつかるドサッという音と、布が地面に落ちるシュルルル、パサッという音が何回か聞こえる。
新八の頭の中に、白い布団が敷かれるイメージと、妙と九兵衛がそれぞれ着ている衣服をすべて脱いで裸になっていくイメージが交互に思い浮かぶ。
紅潮して冷汗をかきながら、機械のように頭をゆっくり動かし、次に何が起こるかを懸命に聞こうとした。
6畳半で窓際に机が置かれる質素、しかしいたるところに寺門通のポスターが貼られている新八の部屋。
窓や入り口となる引き戸には、開かないようにすべてつっかい棒が。
真ん中に分厚い布団が置かれ、周りに2人が脱ぎ捨てた桃色の着物、青い帯、白い外套、青い着物と袴がたたまれずに散乱している。
柳生九兵衛と志村妙は、分厚く白い掛け布団の中で、双方一糸まとわぬ白い体を互いに抱き寄せ、温めてあっていた。
お互いの相手の体、心のことが頭のすべてを支配し、だらしなく脱ぎ散らかした服のことは全く考えていない。
「妙ちゃん……。寒くない?」
「ううん……。九ちゃんが暖かいし、暑いくらい」
妙は九兵衛の背中、肩、二の腕と手の位置を動かし、衣服という『障壁』のなくなった相手の肌の
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