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卍(まんじ)
卍(まんじ)
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ん……妙ちゃん、後悔してない?」
「ううん、ありがとう」
 疲れが取れないまま、妙はぎこちない笑みを浮かべた。幸いあれだけ激しい動きをしても、一糸まとわない体が2人とも布団から出ていない。
 おそらく他の誰にも、体を見られていないだろう。
「ねえ、妙ちゃん」九兵衛は再び、甘えるような声を妙に聞かす。「また、抱きしめてくれないかな? 母上のように」
 九兵衛の頭が、妙の胸にしなだれかかる。
「九ちゃん……」
 妙の中の母性が急に高まり、彼女は九兵衛を、胸のあたりで抱きしめた。
 九兵衛の中で飢えていた母の愛情が、自分の中で沸き上がり、安心の感情に覆われていった。彼女は思わず、瞳を閉じる。
 それを見て、妙は思わず、微笑む。
 やがて2人は、湧き上がってきた睡魔に、その身を任せた。


「あ……あ……あ……」
 尻もちをつきながら、部屋の入り口の扉にもたれかかり、新八は薄暗い虚空をにらんでいた。
「あ……姉上……九兵衛……さん……」
 聡明な新八は、部屋から漏れ出てきた2人の吐息、喘ぎ、叫びから、2人が中で何をしていたのか、何が起こっていたのかを全て悟る。
 顔は頬から耳まで真っ赤になり、額には冷や汗が流れ、体の一部ははち切れそうなほど反応してしまっていた。
「オイオイ、ダメガネ、こんなところで何ビビっているアルヨ?」
「お前ん家不用心だな。鍵空いてたから勝手に入っちまったぜ」
 新八が我に返り、声のする前方を見ると、すぐそこに万事屋の仲間、神楽と坂田銀時が立っていた。神楽は赤毛にお団子頭に赤いチャイナ服、銀時は銀髪天パに死魚のような目に着流し姿、2人ともいつもの姿だ。
「この部屋、お前の部屋だろ?どうして入んねえんだ?」
口を開く銀時。
 ひいいいっ!! と新八は真っ赤な顔で吃音をあげながら、襖を通せんぼして、
「だ、だ、駄目です!! こここ、この部屋の中には姉上と九兵衛さんがいて、許可が下りるまで僕も入れないことになっているんです!!」
「おいおい、何故なんだ?」
「そ、そ、それは……僕にも言えません」
「もしかして2人してお召し替えか? なら俺とお前、男2人で覗きとしゃれこもうぜ。『鬼も18、番茶も出花』ってな」
「駄目ですっ! 着替えどころかもっとすごいことしてるんですから!!」
 新八を無視して銀時は扉を開けようとするが、何かに妨害されて扉は開かない。
「あり?なんで空かない?」
「駄目ですよ!! この戸には裏につっかい棒まで立てられているようですし」
「ならワタシの怪力があるネ!!」
「駄目ですってばあああああああああああああ!!」
 新八が止めるのも聞かず、神楽は扉に右正拳をぶつけた。
 宇宙人神楽の『夜兎の怪力』により、一撃で戸はつぶれ、前に倒れる。
 3人が部屋を見た瞬間―
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