第一話 因縁のある者達の再会
[8/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るのではなく、私を沈めることを優先させた。そのせいでこの子の家族と友人は死に、この子自身も死にかけた。だから、私の魂を宿させて助けるしか方法がなかったのよ」
防空棲姫は真剣な表情でそう言ったが、その声には凄まじい怒りが込められていた。
それに対し、凰香は感情を感じさせないような無表情だった。だが、榛名には凰香の無表情がどうしようもなく怖かった。
すると、凰香が無表情で榛名に近づいてきた。
「ひっ……!!」
榛名は防空棲姫の怒りと無表情の凰香に恐怖してしまい、一歩後ずさってしまう。そしてこの場から逃げ出そうとしたときーーーー
「………動かない方がいいよ」
ーーーー凰香と防空棲姫とは別の声が背後から聞こえ、首筋に冷たいものを当てられた。感触からして刃物のようだ。
榛名は一歩も動くことができず、顔を少しだけ動かして後ろを見る。
榛名の後ろにいたのは夕立の姉妹艦である白露型駆逐艦の二番艦『時雨改二』だった。だが背後にいる時雨は榛名の知っている時雨とは全く違い、その目は氷のように何処までも冷たい。まるで仲間である艦娘も平気で殺せるほど冷酷になれるといった感じだ。
防空棲姫の怒りと時雨の冷酷な目、そして無表情の凰香に榛名はついに限界を迎えてしまった。
「…ゴ、ゴメンナサイ!!」
榛名は泣き叫びながらその場に土下座する。榛名の突然の行動に防空棲姫と時雨が驚いた表情になるが、榛名は狂ったように泣き叫び続けた。
「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ!!せ、せめてゆうだちちゃんだけはぁ!ゆうだちちゃんだけはたすけてくださぁい!はるなはなんでもしますから!おねがいですからぁ………ゆうだちちゃんだけはたすけてぇ…………!」
榛名は土下座しながら、ついに大粒の涙を流しながら泣き始めてしまった。
今の榛名は絶望に打ちひしがれていた。無関係の人間を殺してしまい、他の艦娘を更なる地獄に突き落とし、沈んだと思っていた防空棲姫は生き残っていた少女に宿ることで生き存えて、そして今目の前にいる。
おそらく榛名はこの先凰香に復讐されるだろう。衣服は全て剥ぎ取られて常に鎖に繋がれ、暴力を振られたり、欲望の捌け口にされるのかもしれない。はたまた、それすらも霞み死ぬことよりも苦痛なことをされてしまうのかもしれない。
だが、夕立は無関係である。だから夕立だけは絶対に手を出してほしくないのだ。
「ぐすっ……うぅ………!」
榛名が土下座をしながら泣いていると、頭に手を置かれるような感触がした。
「ふぇ………?」
榛名が顔を上げると、目の前に凰香が立っており、籠手を着けた右腕で榛名の頭を撫でていた。禍々しい見た目とは裏
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ