第一話 因縁のある者達の再会
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その人影が何なのかはわからないが、少なくともこの廃墟に住んでいる人物であることは間違いない。
(もしかして、あの人が榛名達を助けてくれたのでしょうか?)
榛名はそう思うと、なんとか外に繋がる扉を見つけて、廃墟の外に出た。そして舗装されていない険しい道を下りて、先ほど人影が見えた堤防のある海辺へと出る。
すると、堤防の先に黒いコートに身を包んだ黒色の腰までの長髪の少女が座っていた。
「………ふーん、目覚めたんだ」
突然少女が振り向かずに榛名に言った。そのことに榛名は思わずビクリとしてしまう。すると、少女が立ち上がって榛名の方を向いてきた。闇を写したかのような黒い瞳、白いYシャツのような服に赤い線の入った黒いスカート、膝下までの黒いブーツ、右腕を覆う少女には似つかわしくない、指先が鉤爪のように鋭くなった赤黒い籠手。
(この子が、この廃墟に住んでいる人なのですか………?)
榛名は目の前にいる少女を見てそう思った。
目の前にいる少女はどこからどう見ても十代後半である。そんな少女がこんな何も無い廃墟で一人で生活することなんてできないはずだ。
すると榛名の疑問を見抜いたのか、少女が榛名に言った。
「………どうしてこんなところで一人で生活できているのかがわからないっていった顔ね、金剛型高速戦艦の三番艦『榛名』さん?」
「ッ!?」
少女の言葉に、榛名は驚愕する。今初めて会ったにもかかわらず、目の前にいる少女は榛名の正体を言ったのだ。
榛名は震える声で少女に言った。
「……あ、貴女は一体………?」
「………私は『黒夢凰香』。10年前からここで生活しているわ」
黒夢凰香と名乗る少女がそう言った。
10年前。それは榛名が決して犯してはならない『罪』を犯した年だ。そして佐世保第十三鎮守府に所属する艦娘達にとっての『地獄』の始まりでもある。凰香の言葉を聞いた瞬間、榛名の脳裏に『あの日』からの今までの光景が蘇る。
それと同時に、榛名は凰香の言葉に疑問を抱いた。それはなぜ凰香が『10年前』という言葉を言ったかということである。普通ならわざわざ『10年前』と言わなくてもいいのだ。しかし凰香は『10年前』と付けて言った。そのことから凰香は10年前に関わりがあると思われる。
すると凰香が表情を変えずに言った。
「………10年前、佐世保第十三鎮守府は『災厄』防空棲姫を含む深海棲艦達に対して奇襲作戦を行った。佐世保第十三鎮守府の提督である大車健二郎提督は奇襲作戦を成功させるために、本来行わなければならないはずの避難勧告を行わなかった。そのせいで、民間人の乗った一隻の船が戦闘海域に迷いこんでしまった」
「!ど、どうしてそれを………!」
榛名は
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