第一話 因縁のある者達の再会
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、自分と同じような境遇の人物を凰香は現れてほしくないのだ。
すると、防空棲姫が言った。
「………あなたの意志は、私の意志。あなたが復讐をしないというのなら私も復讐はしないわ」
「……僕も防空棲姫さんと同じだよ。君が復讐をしないというのなら僕も復讐はしない」
時雨が防空棲姫に続いてそう言い、太ももに付けていた鞘にコンバットナイフを納める。それを見た凰香は二人に言った。
「じゃあ、防空姉と時雨はこいつらを入渠ドッグにでもぶち込んでおいて」
「はいは〜い」
「うん、わかったよ」
防空棲姫と時雨がそれぞれそう言って、防空棲姫は実体化すると榛名を、時雨はもう一人の少女を肩に担いで旧泊地の方へと歩き出した。
「………あの日、どうして私達を撃ったのかは後で聞けばいいから、とりあえず仕掛けを回収しないといけないわね」
二人を見送った凰香はそうつぶやくと、海に近づく。すると凰香の両脚が赤い光に包まれ、次の瞬間には凰香の両脚は黒い金属のブーツのような艤装に包まれていた。
凰香の身体の中には防空棲姫の魂が宿っている。そのため凰香は身体の一部を深海棲艦化させたり、高角砲型の生体ユニットを出現させて装備したりすることができるのだ。しかし、凰香はまだ訳あって『完全に防空棲姫になること』ができなかった。
艤装を装備した凰香は水面に立つと、水面を滑って浮きがあるところまで移動した。そして浮きから垂れている縄を握り、そのまま引き上げる。
ーーーーザバァァァァァッーーーー
すると、海面から円柱形の大きな仕掛けが現れた。その中にはアジやクロダイなど多くの魚が入っていた。しかし、凰香はこの量では満足できなかった。凰香を含め、防空棲姫も時雨もかなりの量を食べるからだ。
(………後で少し釣りでもするか)
凰香はそう思うと、魚の入った仕掛けを持って鎮守府に戻るのだった。
………
……
…
「……う…ん………」
頬に水滴のようなものが当たったことにより、榛名はゆっくりと目を覚ました。
まず目に入ったのは薄汚れたコンクリートの天井で、そこから水滴が落ちてきたようだ。
次に感じたのは身体の芯まで届くジワリとした温かさで、全身がお湯に包まれているようだ。
どうやら榛名は入渠しているらしい。
(確か…榛名達は長門さん達に砲撃されて………)
榛名はぼーっとする頭で先ほどまでのことを思い出す。とはいえあの鎮守府から夕立と共に脱走し、追いかけてきた長門達に砲撃されて海に沈んだところまでは覚えているのだが、その後のことが一切思い出すことができなかった。
「ッ!ゆ、夕立ちゃんは………!」
そこまで思い出した榛名は、慌
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