第一話 因縁のある者達の再会
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す。
どの情報も深海棲艦に反撃されて撤退したという内容だが、凰香は表情を変えることなく防空棲姫に言った。
「深海棲艦以外のニュースは?」
「『国際テロ組織が最近おとなしくなってきたのは深海棲艦のおかげだ』とのたまうものはどうかしら?」
「すごくどうでもいい。他は?」
「あとは『水族館でシャチの赤ちゃんが生まれた』ってところかしらね」
防空棲姫の最後の情報を聞いた瞬間、凰香はピクリと反応してしまう。それを見た防空棲姫がクスクスと笑うが、凰香は何事もなかったかのように表情を変えることなくテレビを眺め直した。
なぜ凰香がここまで表情を変えないのかというと、凰香には一切の感情を失ってしまったのだ。正確にいえば全ては失ってはいないのだが、喜怒哀楽はほとんど失ってしまっており、この通り常に無表情なのだ。
すると、防空棲姫が思い出したかのように言った。
「………ああ、あと一つ。佐世保第十三鎮守府の提督が捕まったわ」
「テレビで見たわ。自業自得よ」
表情こそ変わらないものの、珍しく不機嫌そうに言った。佐世保第十三鎮守府の提督である大車健二郎があの日艦娘に命令して、凰香の家族と友達を殺した人物であるということを防空棲姫から聞いていた。そして、あの日凰香達が乗った船と防空棲姫を砲撃したのが、金剛型高速戦艦の三番艦『榛名』であるということも聞いていた。
凰香はそれを聞いた時、怒りや憎しみで心が支配された。それの影響で、気がついたときには感情を失っていたのだ。
(………嫌なことを思い出したわ)
凰香が不機嫌そうにそう思ったときーーーー
「凰香、ちょっといいかな?」
扉が開いて、一人の少女が入ってきた。横が獣耳のように跳ねた三つ編みの黒髪に赤い髪飾りを付け、赤いネクタイを付けた紺色のセーラー服に同じく紺色のミニスカート、両手にオープンフィンガーの黒色の手袋を付けた青い瞳の少女は、白露型駆逐艦の二番艦『時雨改二』。なぜこの旧泊地に時雨がいるのかというと、凰香と防空棲姫が旧泊地に住み始めてからしばらくして、凰香が工廠で建造したらたまたま時雨が建造されたというだけである。それ以来、時雨も凰香と防空棲姫と共にこの旧泊地で生活しているのだ。ちなみに、時雨も幽体時の防空棲姫の姿を見ることができる。
凰香はテレビから部屋に入ってきた時雨に視線を向けて聞いた。
「時雨、どうかしたの?」
「いやね、仕掛けを回収しに行ったら浜辺にとんでもないものが流れ着いててさ」
「とんでもないもの?一体何かしら?」
防空棲姫が首を傾げる。すると、時雨が言った。
「まあ、見てもらった方が早いね。ちょっと来てもらえるかな?」
「………わかった」
凰香は
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