Side Story
少女怪盗と仮面の神父 38
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知れない。恨まれるかも知れない。でも私は……仮定でしかない未来に絶望するより、今此処に在る確かな想いを選ぶよ)
「!」
俯き気味で視線をさ迷わせる自分の肩を、ぎゅうっと強く抱き締める。初めてハウィスと会った、あの時と同じように。
どうか……どうか、伝わって。
今も私を温めてくれてるハウィスの気持ちを、どうか受け入れて。
(ハウィスは生きてる。アルフィンもマーシャルさんもベルヘンス卿もエルーラン王子も、みんな生きてる。だから、お願い)
赤黒いこの世界を、現実にさせないで。
(みんなを……ハウィスを助けて。助けさせて。お願い、私)
目覚めて直ぐに悪行の報いを受けるとしても。
此処で。こんな形で。
死に逃げさせないで。
「……ス……」
腕の中の自分が震え出した。
私の肩に温かい雫がパタパタと落ちて
「ハウィスーーーーーーーッ!!」
幼い叫び声と共に世界が色を失い、輪郭を……
変えた。
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