63.彼岸ノ海
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らの予想の斜め上を通過していく彼らならば、或いは本当に古の怪物を――。
話がまとまったのを確認したキャロラインが槍を抱えてウインクする。
「じゃ、行こう?天井がブチ破れてから暫く経って、岩盤もファミリアひとつ通れる程度には再生してるし。ここの淵を通ったら穴から落ちずに正規ルートで60層まで一直線ってね!」
「一応未踏破階層の開拓になるが、目的はあくまで下で戦う冒険者たちの救出だ。全員、気を引き締めていこう!」
連合の暫定リーダーとなったフィンのひと声の下、黒竜の攻撃の中でも彼らが生きていることを信じて、ファミリア達は前進を選ぶ。
その真下、特に意図せず碌に見えない60層を覗いたティオネはふと眉をひそめた。
「どうしたの、お姉ちゃん?」
「え?ううんと………今、溶岩の中に十字架みたいなものが見えた気が……駄目ね、やっぱり気のせいかしら?」
「老眼じゃねーの」
「黙れ犬」
「狼だクソアマゾネスッ!!」
相変わらず噴煙と火の粉を噴き上げる60層は視界が悪い。
ティオネがその合間に一瞬垣間見たそれを気に留める者は、本人を含めて存在しなかった。
= =
「――本当に、それでいいの?」
「ああ、今は何もしなくていい」
アイズの勝手な脳内イメージによると。
オーネストは焦らすとか待つとか維持するとかそのような保守的で受け身な戦法を取らない男で、戦う以上は攻めて攻めてありとあらゆる手段を用いて攻め通す極まったインファイターだと思っていた。
「アイズ、その俺が突っ込むしか能のないイノシシだと思っていたと言わんばかりの顔をやめろ」
「…………顔に出てた?」
「カマかけだ。本当に思っていやがったな?」
渋い顔をするオーネストに、アイズはものの数秒で本心がバレたことが恥ずかしくて俯いた。周囲からは考えていることが顔に出ないと言われているが、実は自分はものすごく分かりやすい性格の人間なのではないだろうか。ロキにだってこんなに早くバレはしない。リヴェリアには結構見通されるが。
「ウォノくん、静止結界に異常は?」
『源氷憑依はまだ持つと思われる。重ね掛けはまだ必要ないと思いまするぞ、りーじゅ殿』
相変わらず溶岩の上に取り残されたアイズたちは、現在はリージュの魔法ではなくウォノの魔法『奇魂』の相殺結界にリージュの『源氷憑依』を重ね掛けした状態で熱を防いでいる。リージュが持続的に相殺するよりこちらのほうが消耗を抑えられるというオーネストの案だ。
ウォノと手をつないで自らの魔石の力を分け与えているドナが退屈そうにぼやく。
『ホントにここでジッとしてていいのかなぁ……』
「それが現状の最適解だ。フレイヤさま
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