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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
63.彼岸ノ海
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 黒竜の攻撃にて60層が溶岩の海に変えられた時刻と同刻――59層には能力的な問題から救援に行きそびれたココとキャロライン、ヴェルトール、そして黒竜討伐戦線の件を聞いて飛び出したアイズ他数名を追いかけてきた『ロキ・ファミリア』の面々が顔を合わせていた。

「それでは……ロイマンとフレイヤに唆されてアイズはこの下に降りた訳だね?」
「というか、全員行きたいと言ったらアイズ以外役立たず認定を受けたというか……」
「そしてドナ・ウォノ・『猛者(オッタル)』と一緒にあそこに降りたのか」

 気まずそうに明後日の方角を向きながら白状したティオナの言葉を聞きながら、フィン・ディムナは地獄の窯を覗き込む。顔が焼けそうな程の熱気と火の粉が舞い上がり、60層の様子は伺えない。ただ、常識的に考えるなら火山の火口に飛び込んで生きていられる人間はいない。

 背筋を伝う汗がやけに鮮明に感じられる。この汗がただ単に熱いから流れたものではない事を知りつつ、しかし確かめてもいない事を結論付けるのは早計だとかぶりを振る。状況は絶望的だが、絶望とは人間の感情が決定する価値観だ。
 冒険者とは奇跡のような確率を引きずり出してこそ真の強者になれる。
 アイズも強者である事を望むのなら容易に死にはしない。

「下にはオーネストやアズもいるし、オラリオ最強の氷の使い手たる『酷氷姫』もいる。上手く凌いでいることを信じて行動しよう」

 フィンの考える可能性が低い事は周囲も先刻承知だろう。
 ロキ・ファミリアの冒険者の一人が不安と恐れの入り混じった表情で溶岩の海を見つめる。

「信じるったって、これはちょっと……言っちゃあ悪いが向かえば死人を増や……」
「そういうこと言うな!!」
「死ぬわけあるかよ!オーネストもアイズも……!!」
「これから助けに行こうって言ってるのにもう!!本当に信じられません!!」
「わ、悪かったよ!!俺だってその、別に本気じゃないって……」

 若い衆の猛反発を受けて冒険者はおどおどしながら前言を撤回するが、周囲の声が大きいのはそれだけ不安が心を圧迫しているからだ。そもそも下の階層が大穴から見える光景も、その下が溶岩に埋め尽くされている光景も、これまでのダンジョン攻略の常識からすれば考えられないものだ。
 これまでの常識が通用しない、余りに勝率が低すぎる状況。
 そんな中で、不思議とその場の全員が縋るように信じている男たちがいた。

「オーネストは何だかんだでアイズには甘い所がある。それにあいつでカバーできずともアズがいるのだろう?」
「あやつはオーネストの友人とは思えぬほど人が良いからな。本当に危ない状況でもなんとかするじゃろ」

 リヴェリアとガレスの脳裏に浮かぶ、人知を越えた行動を取り続ける二人の若者。常にこち
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