第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#43
FAREWELL CAUSATIONV〜All Round Attack〜
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だろう。
ソレが 『真の失敗』 だという事実にも気づかないまま。
だが今の彼女は違う、必死に賢明に、自分の状況と能力をみつめたまま
未知成る可能性を紡ぎだそうとしている。
その勇気はまだ小さく吹けば消えてしまいそうな儚き存在の光ではあるが、
他の強者に劣らぬほど気高い。
誰しも最初は弱き者、一番悪いのは “変わろうともせず”
口先だけで問題を先送りにし結局は何もしない事、
人間は精神に拠って形創られる存在、
その者の想い次第で、どれだけ愚劣にもどれだけ崇高にもなれる。
「このまま、もし二つ目三つ目を順調に破壊できたとしても、
状況はそれに比例して悪くなっていきますよね。
壊せば壊すほど相手の警戒心も強くなりますし、
最後の一つは何が何でも護ろうとする筈です。
だったら、“残り全てを同時に破壊出来ないでしょうか?” 」
まだ一つ目だったら相手の危機感も高くない、
事実の確認とそれを実行している者を探し出そうとする位だろう。
だが順番に破壊していけば、花 を防衛することに優先順位が挿げ替わる、
だから相手の目的意識がやや曖昧な今の内に全てを決定してしまう。
「ライトちゃん、私を抱えて、屋上まで跳べますか?」
言い終わりとほぼ同時にスタンドがコクリと頷き、
紗衣の靡く細腕に少女を軽々と抱き上げついで跳躍する。
『聖 光 の 運 命』 が背に持つ羽根は、
主に防御と攻撃補佐に用いる幻像で飛行能力はない、
だがそれでも 『近距離パワー型』
華奢な少女を抱えての10数メートル程度の跳躍など造作もない。
「……」
全貌というわけにはいかないが一望できるシンガポールの街並み、
灼熱の戦場、絶え間ない轟音と振動、余波に過ぎないのに大気を震わす
それぞれの精神が空間を伝わってくるようだった。
コレから繰り出そうとする彼女の “策”
戦闘はほぼ無経験、ましてや承太郎やシャナのように
相手が強大なら強大なほど闘争心を燃え上がらせる
精神など持たない故に辿り着いた発想。
幻想大結界、その要石 “ピニオン” の、四機同時一斉破壊。
ソレを実行する術は、先刻の流法
『聖 光 爆 裂 弾・双 奏』 にヒントを得たモノであるが、
訓練も考察も行っていない術をいきなり実戦で投入するのは、論理の破綻した無謀。
しかしそれを実践出来る覚悟と勇気無くして 『スタンド使い』 に在らず、
能力に縛られ振り回される、三流以下の遣い手に他ならない。
熱く冷たい戦風が恐怖感を煽る眼下の光景、
考えたくなくとも策の失敗、直上からの垂直落下を否応なく想起させる。
「う、うぅ〜」
視たくないのに目
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