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歌集「春雪花」
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 明くるれば

  夜闇も色を

   つけにしも

 わが恋の何ぞ

   明くることなし



 明けて朝が来れば、夜の闇は消えて世界は色付くと言うのに…。

 私の恋は叶わずに、明けることなき夜の闇に包まれるだけ…。


 月明かりもない…ただの闇だけ…。



 君想ふ

  静かなりしは

   雪そ降る

 つもるは恋し

    わが心なれ



 彼を想い…一人虚しく夜を過ごし、気付けば外は深々と降る雪に世界が覆われていた…。

 彼のいない淋しさに震え…雪の降る大地の冷たさに震え…。

 世界を隠さんばかりに降り頻るのは、きっと…私の彼を恋しく思う心なのかも知れない…。


 ならば…全てを埋め尽くしてしまえ…。




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