シェリアの策
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こうから攻めて来させるのは無理なのか?
「なら、向こうに出てくるように仕向けないとね」
各々の予想の結果、どちらも攻めていこうとする考えはない。そうなるとずっと動きがなく時間だけが過ぎてしまうことになるが、ここで諦めることはしない。絶対に作戦を成功させたいシェリアは、強行策を提示したのだった。
第三者side
「エーメ様、東方にも西方にも敵の姿はありません」
「そうか・・・」
数日前は束ねていた髪をほどき、どことなく休息を取っているように見える女性は手櫛で髪を溶かしながら真剣な表情を覗かせる。
「警戒の人数をもう少し減らせ。今のうちに体をできるだけ休ませておけ」
「はっ!!」
長官からの指示を受け村にある小屋の中から飛び出ていく兵隊。その様子を布団の中からじっと眺めていたローレは難しい顔をしている相方を心配したように声をかける。
「どうしたの?エーメの勘が外れるなんて」
最初に森に火をつけ奇襲を仕掛けてきたマリキスとイネス。彼らに村人たちがいる場所を推測し伝えたのは、エーメと呼ばれるこの女だった。しかし、彼女の考えではすぐさま襲撃してくると予測していた少年たちが全く姿を見せなかったため、布団を被った女性は心配して顔を覗き込んでいる。
「たぶん、見に来たんだろうな。いつかまではわからないが」
「あれ?でも姿は確認していないって・・・」
先行部隊である五人のうち三人がやられた直後にその部下たちが集結し、すぐさま村全体に人が近付いたら気付けるように注意を張り巡らせた。なのに、その監視を掻い潜って村の現在の様子を見たとは考えられないローレは不思議そうな顔をしている。
「所詮寄せ集めのバカどもだ。完璧な監視などできやしないさ」
部下がいないのをいいことに上から物を言うエーメ。しかし、それは事実であるだけにローレも小さく笑うことしかできずにいた。
ドォンッ
「「!!」」
二人が休憩がてら言葉を交わしていると、突然外から巨大な爆音が鳴り響いてくる。
「エーメ!!ローレ!!来たみたいだぞ!!」
バンッとドアを激しく開いてカラスがそう言う。それを聞いたエーメは驚いたような表情を見せた後、ニヤリと笑みをこぼし立ち上がる。
「すぐに休んでいる者たちも出陣させろ!!奴等を仕留めれば全てうまく行く!!」
「了解」
髪をポニーテールに結びながら指示を出し、外へと出ていくエーメとローレ。彼女から指示を受けたカラスはすぐにそれを伝えると、村の家から次々に山賊たちが姿を現す。
「エーメ様!!あいつらです!!」
村全体を見下ろすことができる崖の上部を指さす兵隊。彼女はその方向に目をやる
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