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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン64 蹂躙王と鉄砲水
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清明の流されやすさ、影響されやすさについては共に過ごした短い日々だけでも嫌と言うほど思い知っていた。

『まあ、これは私が元々1人分しかなかったエネルギーを蘇生のために2つの魂で分けたわけだから、不安定になるのは仕方ないんだがな』
「……ふむ」
『多分、ここ数日の間に心の闇を無理やり押し広げさせるため色々吹き込まれた結果また揺らいだんだろう。とりあえず、なんとかそのマスターと意志疎通できないか?』
「お、おう。おーい、清明ー。元気してっかー……って、無視かよ」

 努めて明るく声をかけるも、まったく反応することなく体育座りでうずくまったままの清明。やれやれとため息をつき、近寄ってその二の腕を掴んだ。それでも抵抗しなかったので、思い切り腕を引き上げて強引に立ち上がらせる。そこまでやってようやく、ぼんやりした目で目の前のユーノを認識したらしい。どこか焦点の定まらないぽんやりとした目のまま、のろのろと口を開く。

「あれ、僕……」
「人が呼んだらさっさと返事しろコノヤロ。ほれ、立てるか?」

 手を放すと少し体が揺らいだが、そのまま再び座り込むようなことにはならなかった。まだどこかふらふらしている様子を危なっかしそうに眺めながら、もう少し意識をはっきりさせるためさらに話しかける。

「なんか色々あったんだろうけどな、まあとりあえず無事でよかったなあ」
「無事……無事?僕が?」
「なんだ、普通に返事できるじゃねえか。俺もそうだけど、こいつらも懐かしいんじゃねえか?」

 そう言い、自身が着ている服のポケットにこれ見よがしに手を突っ込んでみせる。わざと大げさに手を動かし、その様子をぼんやり眼で追っていることを確認してからゆっくりとあるものを掴んで持ち上げてみせた。まだピンと来ていないらしい清明に、その手に握ったものを広げて突きつける。

「お前のデッキだ。なんで無くなったのかは聞いたから文句は言わねえが、もうこんな大事な物手放すんじゃねえぞ」
「聞いた……誰に?」

 ユーノの何気ない言葉に、ほんの少しだけこれまでより強い反応を見せる清明。だがその目を一瞬よぎった怪しい光に気づかぬまま、問われるがままにあっさりと答えてしまう。

「え?そりゃお前、チャクチャルアに決まってんだろ。お前の神さんだぞ、ちゃんと拝んどけよ」
『あっ……』

 不穏な気配を感じ取った声が慌てて止めようとするも、時すでに遅かった。その名を聞いた瞬間、それまでの夢うつつの状態から一転して目を見開き、憑りつかれたような表情でユーノに詰め寄る。

「今すぐそれをこっちに寄越して!早く!」
「はあ?どうしたんだよ急に」
「早く!」

 謎の剣幕に押し切られ、よくわからないまま言われるままにデッキを渡しそうになるユーノ。それに待ったをかけ
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