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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン64 蹂躙王と鉄砲水
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聞いて恐れるどころか、だったら、と笑って見せるユーノ。

「やっぱり俺も行くぜ。どうせ駄目ならとりあえず足掻いて死にたいしな」
『……もう勝手にしてくれ。それなら私がサポートするから、メインの動きは任せるからな。その方がむしろやり易い。まずマスターの額に手を当てて、今度は目をつぶってくれ。私がいいというまでな』
「よしきた」

 降ろした手を再び額に当てると、清明が軽く身じろぎする。また寝息が安定したころを見計らって、すっと目を閉じた。

『よし、着いたぞ』
「早っ!」

 彼が目を開けると、そこはもう別世界。右も左も真っ暗な中、足元にただ1本の光る道が通っていた。

「……これか?」
『そのまま奥に進んでくれ。その先にマスターの……なんと説明したものか、心の核と言うか、自我そのものと言うか、まあとにかく視認できる形でマスターそのものがいるはずだ』

 左右と同じく黒く塗りつぶされた空を仰ぎ問いかけると、頭の中に直接声が聞こえる。その声に素直に従い、歩きながらも気になるらしく改めて周りを見渡す。しかしそこには道しるべともなる足元の光以外、本当に何ひとつ見える物がない。確か覇王十代の心の中には大量の鏡、あるいは窓のようなものがびっしりと取り囲んでいる風景があったはずだが、ここで何も見えないのは清明本人が侵入を拒んでいるからだろうか。
 そんなとりとめもないことを思い出しながら進んでいくと、やがてうずくまって背を向ける人影が見えてきた。

「おい!」

 聞こえない距離ではないはずだが、赤い服に黒髪の少年……清明はピクリとも反応しない。仕方なしにユーノがさらに近寄ると、小さな声で何事か呟き続けているのが聞こえてきた。

「約束だから、生き残らなきゃ。絶対元の世界に帰るって僕が言ったんだ。でもその前に、奴を倒す絶対倒す必ず行ってやるから早く立ち上がらなきゃ」

 そこまで聞いたところで訳もなく背筋が寒くなり、ばっと離れて声の聞こえない距離まで後退するユーノ。さすがに引いた、と言った調子で、もう一度漆黒の空に問いかける。

「お、おい……なんかむっちゃ病んでるけどこれどうなってんだ?こんなキャラだったっけコイツ」
『礼を言うぞ、そこまで近づいてくれたおかげでこっちもだいぶマスターの心が読みやすくなった。で、肝心の心の中だが……これは、なんというかひどいな』
「ひどい?なんだそりゃ」
『元々、マスターの心は外部要因に影響されやすいタイプだった。それはわかるな?』
「あ、ああ。なんとなくわからんでもないぞ」

 ユーノの脳裏をよぎったのは、ダークネス吹雪戦や光の結社戦で我を忘れ地縛神の力や破滅の光にあっさり呑み込まれては暴走したりしかけていた清明の姿。後者に関しては彼も人のことを言えた立場ではないのだが、
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