ターン64 蹂躙王と鉄砲水
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の清明に、目の前でさらにその存在が消えつつあるユーノが笑いながら口を開く。
「おいおい、まだわからねえのか?簡単なことさ。その力が2人で足りないなら、1人にまとめりゃいい。俺の魂をお前に丸ごとくれてやりゃあ、残ったお前はようやくまともになって万々歳って寸法よ」
「そんな……!」
「だいたい、俺みたいなのがいつまでも引っ付いてる方がおかしいんだぜ、世間常識では。なーに、そう捨てたもんじゃねえさ。俺は確かに消えるが、何もかもなくなるわけじゃねえからな。お前が俺のことを覚えている限り俺がお前の一部として生き続ける、その腐れ縁は終わらんよ。なにせ好き嫌いはともかくとして、俺たちは二身一体なんだからな」
「でも、でも!」
「ただまあ、せっかくなら最終回までは見たかったってのと、最後にもういっぺんぐらい富野のアホ面拝んでおきたかったってのはあるかもな……そうだ、ほれ。俺がお前にできる、正真正銘最後のプレゼントだ」
そう言いつつ半透明の手で自らのデュエルディスクを開き、エクストラデッキから15枚のカードを取りだして差し出す。泣きそうになりながらもぐっとこらえてそれを受け取った清明に、もう一度おなじみのニヤリとしたふてぶてしい笑顔をしてみせる。
「いいか、俺がお前にやったデッキは、このエクストラがあって初めて100パーセントの力を発揮する。ただ諸事情あってお前に使わす気はなかったが、俺がこうなった以上このカードの行く末はお前が決めろ。今はまだ力を封印してあるから白紙のままだが、どうせお前融合モンスターなんて使わねえんだからとりあえずエクストラデッキの中にぶち込んどけ。本当に本当にどうしようもなくなった時、そいつらはお前を必ず助けてくれるはずだ」
「うん、うん……!」
ユーノの透明化が、ついに顔にまで及び始めた。それに気づきいよいよ時間切れが迫ってきていることを悟り、最後に何か気の利いた名言っぽいことでも言ってやろうともはやほとんど見えなくなった手を振ってみせる。
「んじゃー……あれだ。少なくとも俺は、ここまでやってきて楽しかったぜ。あとはお前が、ありったけのハッピーエンドを掴みとるだけだ。しっかりやれよ、デュエリスト遊野清明」
その言葉を最後に、ユーノという男の存在は世界から完全に消えた。
『起きたか、マスター』
目を覚ますと、すでに朝になっていた。といっても、厚い雲のせいで太陽なぞはまるで見えないのだが。
「……おはよう」
今の今までずっと見ていた夢の内容を思い出す。そして、それが夢でなくて現実であることも。もっと悲しむかと思っていたけど、自分でも意外なぐらい晴れやかな気分だった。あるいはこれも、魂の歪みとやらが治った影響のひとつなのだろうか……だがその考えが間違っ
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