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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン64 蹂躙王と鉄砲水
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「……んで、調子はどうだ?」
「あー、うん、なんかだいぶすっきりした、かな?チャクチャルさんにも、また後でちゃんと謝らないと。何も教えてくれなかったのはやっぱりちょっと不満だけど、ね」

 戦いも終わり、静かな時間が戻ってきた。もはや最初に見た時とは別人のように元の穏やかさを取り戻した清明が、ちょっぴり照れくさそうに小さく笑う。それを見て、ユーノもまたふっと口の端を歪めて笑った。

「そうかい、そりゃよかった。もう俺も一々助けてやれないからな、こっからは自分(テメエ)でなんとかするんだぞ」
「……え?」

 言葉に込められた不穏な意味を感じ取り不吉な予感に包まれる清明をよそに、何ひとつ気負うものがないといった様子のまま両腕を広げてユーノが呟く。

「さあ、やっちゃってくれて構わねえぜ。こればっかりは俺が自分でやるわけにもいかないからな。第一やり方もわかんねえしよ」
『……承知した』

 言うが早いが、ユーノの体が手足の先から次第に薄くなっていく。その様子と穏やかな覚悟を決めた表情に、闘技場で消えていったケルトの様子が頭の中で重なり合い、清明の顔色がサッと変わる。

「ちょっと待ってよ、どうする気なのさユーノ!」
「ああ、俺らもいろいろ考えたんだけどな。やっぱり、こうするしかないんだわ。悪く思うなよ」
「だから、何を……!」
『魂の統一、とでも呼ぶべきか』
「チャクチャルさん!」

 清明の悲痛な叫びに対し、あくまで冷静に、重々しく声が響く。下手に感情を表に出すのは逆効果にしかならない、との計算づくでの行為である。

『彼がこうすることを最初に思い付いた時には、私も止めはしたのだがな。だが、これしかマスターの精神を安定させる方法がないことは私が一番よく理解している。だから、彼の提案を受け入れた』
「能書きはどうでもいいから、何をやろうとしてるのさ!」
『マスターの精神の不安定さ、外的要因への影響されやすさは確かにマスター自身の性格によるところもある。だがそれ以上に、私がダークシグナーとして蘇生させる際に本来1人分であるべき復活の力を2人の魂に分けてしまったことが何よりも大きな原因なんだ。そのせいでマスターの魂には根本的な歪みが生まれ、それが最初に私の力を認知したあの女ヴァンパイヤ戦や昨年の破滅の光に呑まれた時、そしてつい先ほどまでの状態を引き起こしている』
「……それで?」

 彼自身にも自覚はあった。なぜ僕は自分を抑えきれず、新たな力に呑まれて溺れ、その結果人に迷惑をかけることになるのだろう。その悩みはずっと彼の中にあったが、思いもよらぬ形で今その理由が明かされていた。
 反論したいのは山々だが、当の本人に思い当たる点がある以上それもできない。それで、と聞き返すのがやっと
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