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おぢばにおかえり
第三十八話 夏になってその九

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「そこから修養科も行かせてもらって」
「あれっ、天高卒業したらようぼくにならせてもらえるわよ」
 私は阿波野君の今の言葉に本当にあれっ、と思いました。それですぐにこう言いました。
「修養科でもようぼくにならせてもらえるけれど」
「いえいえ、勉強の為にも」
「おみちの」
「はい、それから前期と後期の講習も受けさせてもらって」
「何かそれって」
「教会長さんですね」
 ここで私をじっと見てきます、阿波野君の場合こうしたお話になると何故かいつも私の方をじっと見てきます。
「その課程も」
「受講するの?」
「そのつもりです」
「そうなのね、ただ阿波野君ようぼくコースよね」
 天理高校は学生全体に教養コースとようぼくコースがあります、教養コースは普通に授業を受けるのですがようぼくコースですとひのきしんをすることもあります。
「そうよね」
「はい、そうです」
「だったら教人の資格を得られるから」
「だからですか」
「前期講習は受けなくていいわよ」 
 ようぼくにならせてもらってから前期講習を受けると教人という資格を貰えます、言うならおみちの先生でしょうか。
「それだったら」
「そうですか、ですが出来たら」
「受けたいのね」
「勉強して、まあ先輩と一緒にしてもいい様な」
「?私?」 
 今日も変なことを言ってきました、そうした時はいつも私の方を見てきますからこのことも不思議で仕方ないです。
「私となの」
「そうした人になる為にも」
 笑顔ですけれど決意が見られる顔でした。
「講習もひのきしんも頑張りますね」
「何かよくわからないけれど」
 はっきり言うと全然です、阿波野君はこんなことばかりです。
「とにかくおみちのことに頑張ってふせ込んでいくのね」
「そうします」
「会長さんになりたいの」 
 私は阿波野君にこうも尋ねました。
「そうなの?」
「はっきり言いますとそうですね」
 私をじっと見ながら答えました。
「いい会長さん目指して頑張ります」
「具体的には?」
「おみちのことを細かいとこまで知っていて人に教えられて自分からひのきしんに励んで」
 思ったよりも遥かに具体的な返事でした、これから考えますとかまあそこは適当にとか言うと思っていましたら。
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