826部分:第百二十八話 戦皇アーレスその六
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第百二十八話 戦皇アーレスその六
それを見てだ。アーレスも言うのだった。
「この全力もか」
「これまでも全力だった筈だが」
「違うか」
「そのことは否定しない」
アーレスは眉一つ動かさず述べてみせた。
「言ったな、私は常に全力を尽くすと」
「確かに」
「それは聞いた」
「しかしだ。この雷はだ」
アーレスは今己が放っている雷についてだ。それを語るのだった。
「私がゼウスとヘラの嫡男である何よりの証だ」
「だからこそ」
「思い入れがあるというのだな」
「その通りだ。オリンポスでこれを使える者はだ」
こう話してきた。
「天帝ゼウス以外には私しかいないのだ」
「そうか」
それを聞いてだ。アイオロスは言うのであった。
「嫡男であるが故か」
「アポロン、ヘルメス」
そうしたオリンポスの神々の名も出していく。
「アルテミス、アフロディーテ、デメテル」
「そしてか」
「そう、アテナもだ」
彼等の名前を次々と出してだ。そうしてそこにはまたしても忌まわしげなものを含ませてだ。そのうえで言葉を出しているのであった。
「アテナもまた同じだ。雷を使えない筈だ」
「如何にも」
シオンが答えた。
「それはだ」
「だが私は使える」
「その雷を」
「この様にしてだ。私こそはあの天界を次に治めるに相応しい者」
「天帝ゼウスの次にか」
「父上と母上の血にかけて」
今アーレスは確かに言った。その両親のことをだ。
「その雷は今汚させはしない」
「むっ!?」
「消えた!?」
その雷を消してみせたのであった。アイオロスとアイオリアの雷もであった。それもまた消えてしまった。アーレスが己に迫る直前で無効化してみせたのだ。
「私の雷を」
「消したというのか」
「雷は今は使いはしない」
こう言ってそれは止めてしまった。
「しかしだ」
「しかし」
「それでも」
「そうだ、技はまだある」
そしてだった。今度は異界を出してきたのだった。
嵐も吹雪も炎も荒れ狂い星が砕ける。光と闇がめまぐるしく交差してそのうえでぶつかり合い岩が乱れ飛ぶ。シオン達をその世界に導き入れたのである。
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