学園生活-スクールライフ-
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「ここは…」
起き上がったシュウは寝ぼけ眼をこすりながら周囲を観察する。テーブルの上のペットボトルやカップ、ペンシルバルーンの動物、熊とパンダの着ぐるみ。天井からぶら下がっているハンガーと服。少し散らかし気味の部屋の風景に、見覚えがあった。
「楽屋…?」
そこは、シュウがかつて住み込みのアルバイトをしていた、遊園地の楽屋だった。
自分の顔を覗き込んできた、人懐っこそうな青年。彼にも覚えがあった。
「…憐?」
「どうしたんだよシュウ。まだ寝ぼけてんの?」
「…何で俺、ここに…?」
「なんでって、俺たち、ここで一緒にルームシェアしてるだろ?ハリスが貸してくれてるこの部屋でさ」
憐の説明を聞いたが、違和感が自分の中にあった。おかしい、自分は確か……さっきまで、自分はこことはまったく別の場所にいたはずだ。
…あれ?
彼はそこでさらに妙な感覚を覚える。確かに、その『別の場所』にいたような感覚はある。憐とこうして会うはずが無い。けど、その場所がどこで、どんな場所なのか…思い出せない。
夢でも見たのだろうか?それにしても、ずいぶんと現実感がある。さっきまで何かとんでもないことをしていたはずなのだが、そのときの記憶が突然ぷつりと切れてる。
「にしてもお前が俺より寝過ごすなんて珍しいじゃん。雪でも降ったりして?」
憐が笑みを見せながら冗談を飛ばしてくる。しかしシュウは、無言のまま立ち上がる。
「…あ、もしかして…怒ってる?」
「別に…それより今何時だ?」
「時間?…ってああああ!!!やっべ!早く準備しないと!!」
「…もう開園時間だったのか?」
妙に慌てた様子の憐。窓から差し込む外の日差しの状況を見て、自分たちが働いているこの遊園地がそろそろ開園時間を迎えるのかと予想したシュウ。しかし、憐の口から次に飛んできた言葉は…シュウの予想を超えたものだった。
「ちげーよ!学校だよ!」
「…は?」
「おっせーぞ二人とも!!」
気がつけば、シュウは憐とともに制服に着替えて登校していた。ビルが立ち並ぶ秋葉原の電気街を横切り、少し人気が薄くなった通学路の市街地を歩きながら、二人は先に待っていた尾白と合流した。
「悪い悪い!珍しくシュウのやつが寝坊してさ!」
「シュウが、寝坊?珍しいな。憐ならなんとなくわかるけどさ」
「憐ならってなんだよ、憐ならって!それじゃ俺がいっつも寝坊してるみたいじゃん?」
目を丸くする尾白に、憐は軽くけなされたことに抗議する。
互いに文句を言い合いながらも、当たり前のように平和な日々を過ごす。シュウは二人のやり取りを見ながら、心が不思議と穏やかに感じた。ずっと長いこと感じてなかったような気がする。彼らのこんなくだらないやり取りだって、毎日聞いていたはずなのに。ごく最近までしんどすぎる仕
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