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絶狼〈ZERO 〉MAGIC BLOOD
始動
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げる。
壁には衝撃でヒビが入り、グールは痙攣し横たわる。
涼しい顔でまるでグール嘲笑うかのように攻撃を間一髪でかわしながら、急所に強烈な蹴りや拳打を的確に与えていく。
私は僅か数十秒で魔法使いでもない男があっという間にグールの集団を壊滅させた状況に驚きを隠せず、唖然とその男を見つめる。

「あなた何者?……」

男は何も答えず、無言で女のファントムと睨み合っている……。
私と睨み合ってた時とは殺気がまるで違う……。
最近、ファントムの大量発生、とある不気味な謎多き殺人事件など私の頭を悩ませる事案が続出……イラついていて早まったと言うのもあるが、黒ずくめの服を着た不審な人物として署まで連行しようかと思っていた。
そして遂にファントムの女と黒ずくめの男は同時に動き出し、男はいつの間にか右手と左手に一本ずつ剣、つまり双剣を装備している。
刀を持っていれば、銃刀法違反と言う言葉が浮かぶだろうが、ファントムを目の前にしている状況ではそんな事まで頭が回らなかった。

ただ、この男何者なのだろう……。
敵なのか味方なのか、魔法使いなのかそうではないのか……そんな事ばかり頭に過っている。

正面から助走をつけ、勢いよく黒ずくめの男とファントムの女の足と足、お互いの蹴りがぶつかる。

一旦、お互いに後退し、間合いを取るが、それは僅かな時間。
女が巻き込むようにして放った拳を男はしゃがんでかわし、腹部に左手の剣の柄の部分を打ち込み、さらに右手の剣で腹をかっさばくかのように真一文字に切り裂く。
切り裂かれた女からは緑色の血液がこぼれているが、どうやら傷は浅く、致命傷には至っていないようだ。

「人間め!……バフォメット真の力で絶望するがいい!!」

痛みと下等生物と見下している人間に傷をつけられたと言う屈辱……女の怒りが最高潮に達した瞬間、女は業火に包まれると共に身体中に白い剛毛が出現し、半人半獣の山羊のファントム・バフォメットへと変身。

普通の人間であれば、その姿に恐怖しおののき、死への恐怖から絶望するだろう……。
まず魔法使いでなければ、ファントムには太刀打ちできない……。
だが、それは黒ずくめの男が何の力も持たない一般人ならの話。

「ようやく本性を現しやがったか」

男は双剣で空中に輪を描くと、その輪の中から直視できないほど眩しい光が発生し、男を呑み込んでいく。
そして光が男を呑み込んだかと思えば、私の目の前には銀色の鎧を纏い、双剣を構える白銀の狼であった。

「めんどくせーからとっとと終わらせるぜ山羊ちゃんよぉ!」

二本の剣……間違いなくあの男の声……つまりあの男もファントム!?……。
でもファントム同士が何故?……。
私の頭の中がこんがらがる……。
そんな状況を飲み込めない私を他所にバ
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