始動
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逃げなくも、あの程度の連中ならあの女子高生の子でも楽勝だろう。
とは言っても、一般の人間からすれば太刀打ちできない力量があるのもまた事実で焦るのも無理はないか……。
敵も簡単には逃げさせてくれない……逃げる道中で歩行者専用のトンネルが見えてくると同時に怪物が俺たちの行く手を阻む。
怪物の姿はパッと見は普通の人間と区別はつかない眼鏡をかけ、ショートカットの髪型をした若いOL風の女性。
ただ違うとすれば、その異様で何の感情も込もっていない死人のような表情だろうか……。
そしてその怪物周りには俺たちの前に現れたグールと呼ばれる異形の化け物、数体が俺たちを襲うタイミングを今か今かと待ち構えている。
「殺れ」
女の怪物の一言でグールは一斉に俺たちを狙い、向かってくる。
「仕方ない……逃げて!」
女刑事は俺の手錠を解くと、背中を押す。
そして勇敢にも、怪物の方に向かっていく。
「ゼロ、あれはホラーじゃないから貴方は関わる必要はないわ」
俺は暫く、腕を組みつつ、女刑事の様子を見守る。
実際、シルヴァの言うとおり、目の前の怪物はホラーじゃない。
つまりあの怪物を倒すのは俺たち魔戒騎士の役目ではないのだ。
「あぁ……それは解ってっけど……」
女刑事はピストルと柔術でグール相手に善戦しているが、所詮はただの人間。
人外の化け物に叶うはずもなく、壁際に追い詰められ、首を絞められ身体は宙に舞う。
女刑事は苦しそうに両足をバタバタさせながらもがいている。
このままいけば、女刑事は十中八九命を落とすだろう……。
「解ってっけど、俺には見過ごす事はできねぇ!」
目の前で助けられる命があるのになかった事になんてできるはずがない。
そんな奴は魔戒騎士どころか人間失格だ。
俺の行動が甘いだとか、馬鹿だとか言いたい奴は好きに言ってくれて構わない。
ー殺されていい命なんて一つもないー
どんな人間でも、どんな状況であろうと命を助けられる可能性があるのならば救う……それが魔戒騎士だ。
俺の好敵手でもあり、親友の男がそう教えてくれた。
もしその男が俺と同じ状況に置かれていたら、きっと俺と同じ行動をとるだろう……黄金騎士ガロ・冴島鋼牙なら……。
SIDE凛子
何て言う馬鹿力だ……息もできない。
苦しい……このままでは……。
暗闇に遠退く意識の中、私の視界に光が戻る。
今までの苦しさから解放され、むせ返し、 咳が止まらない。
しかし一安心……きっと晴人君か仁藤君か真由ちゃんが助けに来てくれたんだ。
そう思ったが、助けてくれたのはその三人の誰でもなかった。
助けてくれたのは私が不審者扱いし、手錠をかけた黒ずくめの服を着た男。
男はグールの頭を片手で鷲掴にすると、壁に向かって放り投
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