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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第78話:解らない事があったなら誰かに聞くのが一番早い。でも鵜呑みにするのは危ないよ。
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いですからね」
「ではリュからは、あの泥棒に対して何らかの考えを巡らせてるというのだな?」

「そうですお義父様。考えてみて下さい、あの泥棒の能力を……ラインハットに居た期間は半年くらいだと思われますが、その間に誰も疑わないほど職場に溶け込み、消え去った後も誰も容姿を思い出せないくらい目立たない存在であり続けたんです。これって凄くないですか?」

「ま、まぁ……確かに凄いな」
してやられた身としては、泥棒の能力を褒めたくはない。
父上の言葉も途切れがちなのは、その所為だろう。

「って事はですよ……その凄い能力を利用してやろうとは考えられませんか?」
「考えられないよ! 相手は罪人だぞ……それを取り締まる側に協力なんて絶対にしないだろう!」
その通りだ。例え捕まっても、捕まえた奴らの言う事なんて聞くはずがない。

「そこで意味が出てくるのが、ラインハットを立ち去ってから3年以上という期間です」
「何故そんなに間が空いた事に意味があるんだ?」
「俺も父上の意見に同意します。これだけ期間が空いたのは、グランバニアのセキュリティーが厳しかったからだろ」

「ちっちっちっ……チミ達は私の父を解ってな〜い!」
人差し指を左右に振って、俺達を馬鹿にするように話す我妻。
その姿に苛つきを憶える。

「泥棒が偽メイドとしてラインハットで働いてる間に、お父さんも何度かこの城に訪れてるんです。そして私のお父さんの特技として、一度見た女の顔は絶対に忘れないという特技があります。我々はメイドの1人として……城で働くその他大勢として、奴の容姿を完全に忘れてるけど、女好きのグランバニア国王は彼女の容姿を忘れる事は無かったんです! 鏡が盗まれた事に気が付いて、お義父様達が居なくなったメイドが怪しいと騒ぎ出してた事もお父さんは知ってましたし、そのメイドがシレっとグランバニア城で働いたから、これを利用してやろうと考えたんだと思います」

「泥棒だと気付いた時に、我が国に知らせるって考えは起きなかったのか?」
「先程も言いましたが、あの泥棒は凄腕です。ラインハットに報告して、犯罪者を引き渡して終わりって事にはしたくなかったんだと思います。泥棒の事を聞いたら、絶対『引き渡せ!』って騒いだでしょ?」

「まぁ確かに言うが、その言い方は腹が立つ」
「事実なんだから我慢して下さい」
「ポピー、リュカ陛下等がラインハットに知らせなかった理由は解ったが、これ程までに時間が掛かった理由はなんだ?」

先刻(さっき)お義父様も言ってましたが、普通に捕まえたんじゃ泥棒も自らの能力をグランバニアに役立てようとは思いません。そこで3年以上という月日を使い、少しずつ泥棒を罠に嵌めたんだろ思います」
「そんなに時間を費やしてか? その間に逃げられる可能性
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