第四話
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き
で十分嬉しいし、泣いてるお前より笑ってるお前の方がいいと思うぞ?」無意識に浅葱の顔を覗き込む古城。
暫く沈黙が続いたあと──
浅葱はいきなり古城の唇に自分の唇を重ねた。
それはキスと言うにはあまりにも不格好で唇を押し付けただけだったが、浅葱の精一杯のアプローチだった。
「浅葱…」古城は驚きに目を見開く。
「ねぇ、古城。私ね、古城と初めて会ったときから古城のことが好きなの」
「病院で泣いてた知らない私に声をかけてくれて、不器用な私に友達が出来るようになったのも古城のおかげ。私、色々助けてもらってる古城の力になりたいの」
「浅葱…」いきなりの浅葱の告白にどうしていいのかわからない古城だが、仙斎と初めて会ったときの会話を思い出していた。
──浅葱が望んだとき、彼女の傍にいてやって欲しい──
古城が何を言おうか迷っていると
「はぁ…いいわ、とりあえずレストランに戻りましょ。(古城のヘタレ…)」
「え、なんか言ったか?」最後になにか重要なことを言われた気がして聞き直す古城。
「別に、ほら行くわよ」そさくさと先を歩いていく浅葱。
「なあ、浅葱」このままでは彼女を傷つけることになると呼び止める古城。
「オレ、まだ自分のこともまともに出来ないし浅葱の気持ちに答えれるだけの権利がないと思うんだ。近い将来自分に自信が出来たらちゃんと返事をする。だから、少しの間待っててくれないか?」
「分かった、今はそれでよしとしといてあげるわ」浅葱は満足そうに笑うとレストランに入っていった。
その後6人で談笑しながら食事をした帰り際
「仙斎さん、まだこんな口を聞くのは早いかもしれないですけど浅葱のことは任せてください」
「そうか、期待しておくとするよ古城くん」仙斎は満足そうに笑うと菫の運転する車に乗り込んでいった。
後部座席の窓が開き浅葱が顔を出した。
「古城、あんたそろそろ学校来ないと凪沙ちゃんや姫柊さんと同じ学年になるわよ?」
「マジか…それだけは勘弁だな、明日は行くよ」
「じゃあ、また明日ね」
「ああ」そう言って各々帰路についた。
「先輩、藍羽先輩となにかあったんですか?」
「そうよ、なかなか帰ってこなかったから心配したのよ?」空気を読んで黙っていた2人が口を開く。
「まあ、ちょっとな」
「ちょっとってなんなのよ、言いなさいよ暁 古城!」はぐらかす古城に食ってかかる紗矢華。
「紗矢華さん、こんな所で暴れないでください」
「第四真祖、暁 古城か」そんないつも通りの3人を遠くのビルから眺めるものが一人いた──
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ