大泥棒が鎮守府にやって来る〜視察編・その3〜
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石に近寄っていくルパン。その瞬間、龍田の顔が僅かに歪んだ。……あら、もしかして嫉妬か?まぁ、すぐに戻ったから邪推は止めておこう。
「どもども初めましてお嬢さん、俺はルパン三世って最近提督になったモンなんだけっども。さっき弄くり回してたのは艦娘の艤装かな〜?」
「え、えぇまぁ。ただ、特殊な試作品でして……」
チラリと明石がこちらに視線を送ってきた。見せても良いのか、という意思確認だろう。俺が小さく頷くと明石も腹を決めたようで、
「もしよろしければ見学します?」
「是非是非!」
ルパンの申し出によってその試作品を見学することに。作業スペースにいたのは夕張と数人の妖精さん、それに駆逐艦の村雨だった。
「どうぞこちらへ。今朝方届いたばかりなんですが、『技研』からのデータ取りを頼まれた試作品の艤装です」
「ハイハイ先生質問〜!」
まるで社会科見学に来た小学生のようなノリで、ルパンが手を挙げている。
「な、何でしょうか?ルパン提督」
「さっきから言ってる『技研』って何の事ですか〜?俺っち新米だから知らないのよ〜!」
どこまで本気なんだか、この男は。
「『技研』ってのはラバウルにある『艦娘技術研究所』の事でな。通称『ラバウル技研』……ウチでは長いんで、略して技研と呼んでる」
ウチの鎮守府のあるブルネイから更に東にあるラバウルは、大本営から一、二を争う程距離が離れており、最果ての泊地と言っても過言ではない。だが、逆にその環境が良かったのか技術畑の変人連中ばかりが集まり、いつしか艦娘の装備向上の為の研究所の様相を呈してしまったのだ。そのぶっ飛んだ開発のアイディアから、『魔窟』なんて呼ばれ方もしたりしている。
「お前さんらの鎮守府での装備の『魔改造』についての話は調べが着いてる。……だがな、あそこの連中のいかれ具合はそれ以上だ」
俺はそう言って言葉を続ける。
「あそこの連中はほとんど『既存の装備』を弄らない。妖精さんとの共同開発で、新機軸の武装の開発をやってる。その中でも大きな功績が艦娘の改二艤装の開発だ」
ある一定の錬度に達した特定の艦娘を更に強化する改二……その艤装の開発に成功したのがラバウル技研だった。まぁ、後から荒木の奴に聞いたら失敗から偶然に産まれた産物だったらしいが。
「へぇ……それで、この村雨ちゃんが付けてるのがそこの研究所の試作品、と」
ルパンは品定めをするようにしげしげと眺めている。俺も改めて眺めるが、既存の駆逐艦の艤装というよりも、イージス艦や護衛艦に近い印象を受ける。
「なんでも、『現代化改修』という開発段階の技術らしくて。海上自衛隊等に引き継がれた名前の娘限定ですが、その後継ぎの艦の装備を使えるようにする…
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