823部分:第百二十八話 戦皇アーレスその三
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第百二十八話 戦皇アーレスその三
「私にそうしたものはない」
「では常に全力を出すというのか」
「どの様な相手でも己の全力で戦いそして倒す」
シオンに返した言葉だった。
「それが私のやり方だ」
「そしてこのトラキアに集う全ての者のだな」
「如何にも。我々は相手を侮ることはしない」
決してというのだった。それはだ」
「それは言っておこう」
「ではだ」
そこまで聞いてだった。また言うシオンであった。
「その全力を。見せてもらおう」
「いいだろう」
静かに返したアーレスだった。そして。
右手を前に出してきた。それだけでだ。
シオン達の周りを炎が包んできた。その炎は。
「おいおい、本当に全力だな」
「その様だな」
デスマスクの言葉にミロが返す。その周りを包む炎を見てだ。その炎はというと。
「白い炎なんてな」
「極限まで燃え盛るからこそのこの色だったな」
「そうさ、俺の炎は青だ」
黄金聖闘士の中で炎の技を使うデスマスクだからこそ。よくわかっていることだった。炎を使う者はそのことを誰よりもよくわかっているのだ。
「白は青よりもな」
「強いのだな」
「尋常じゃなくな。しかし」
不敵な笑みはいつものものだ。だが今のデスマスクはその額に汗をかいていた。笑いの中に覚悟しているものがある証だった。
「これはどうして返してやろうか」
「返せるか?」
「多分な。おいカミュ」
「うむ」
デスマスクはここでだ。カミュに対して声をかけた。カミュもそれに返す。
「御前にもやってもらうからな」
「氷か」
「炎と氷だ、わかるよな」
「よくな」
「じゃあやるぞ」
多くは語らなかった。
「いいな、それじゃあだ」
「うむ。それではだ」
まずはカミュがだった。技を放った。
「オーロラエクスキュージョン!」
それで白い炎を退けんとする。そしてデスマスクもだ。
構えからだ。放った技は。
「積尸気魂葬破!」
「何っ!?」
「その技か」
「ああ、そうさ」
技を放ったうえで不敵に返すデスマスクだった。
「積尸気鬼蒼焔だと思ったか?」
「それでなくか」
「その技か」
「青じゃ白には勝てないんだよ」
炎についての話だった。
「だからな。ここはな」
「爆発させたか」
「ああ、そうさ」
まさにそれだというのである。
「だからこれを使ったんだよ」
「そうか、それでなのか」
「それでその技か」
「爆発の衝撃で炎を吹き飛ばす」
彼の狙いはそれだった。
「そういうことさ」
「成程、それか」
「そういうことか」
「さて、どうだ?」
技を放ったうえでだ。また言うデスマスクだった。
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